ゆらゆら帝国 「空洞です」

空洞です

空洞です

「Sweet Spot」 から2年5ヶ月ぶりとなる最新作。


またけったいなのが出てきましたよコレ。どの曲も明確な盛り上がりは極力排除され、かといって前作のように無機質で殺伐というわけではなく、ほんのり甘さも含みつつ、生温かいテンションを保ったままヌルヌルと曲が進行していく。音はひたすら脱力して骨抜き状態、しかし底辺の部分でグルーヴだけは維持してるという、まるで酔拳みたいなアンサンブル。そんなシュール極まりない音のループと、坂本慎太郎の妙にセクシーな歌声が徐々に脳内を侵していく、そんな奇妙な味わいで溢れてます。また音がシュールならアイディアもシュール。冒頭からソウルばりに甘ったるいサックスが飛び出して少なからずビビらされる 「おはようまだやろう」 、ワビサビ溢れる尺八を (何故か) フィーチャーした 「学校へ行ってきます」 など、ギャグスレスレのセンスが随所に生かされてて余計に力が抜ける。その一方で音はヘロヘロなのに4つ打ちの強烈なグルーヴで身体を突き上げる 「できない」 、シングルとは完全に別モノと化した 「美しい」 のトライバルなリズムと、ダンサブルな曲の存在感が強いのも特徴ですね。何と言うか、今作が 「ゆらゆら帝国」 というバンド名から受けるイメージに一番近いかも。聴き込み甲斐のある作品です。


Rating: 7.8/10
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