電気グルーヴ 「J-POP」

J-POP(初回生産限定盤)

J-POP(初回生産限定盤)

単独作としては 「VOXXX」 以来実に8年ぶりとなる10作目。


J-POP というタイトルから煌びやかな歌モノアルバムになってると想像してたのですが、実際の内容はそこまで明確にキャッチーなメロディがあるわけじゃなく、むしろシンプルに絞り込まれた音数で淡々と電子音を組み合わせていく感じ。 「Shangri-La」 「N.O.」 のようなポップ曲や 「誰だ!」 「VOLCANIC DRUMBEATS」 のような攻撃的ナンバーも見当たらないし、最初聴いた時はえらくそっけないアルバムだなーと思いました。しかし80年代風のチープな感覚と研ぎ澄まされたシャープネスを両立した絶妙なニュアンス、ストイックな反復を繰り返す中で徐々に音を足し引きする展開の巧さ、抑揚をグッと抑えた中でもしっかりフィジカルに響くグルーヴ感、そういった音の持つ魅力に何回か聴いてるとだんだん気づいてきて、いつの間にか中毒的にジワジワ侵されてくるという。特にグルーヴのタフさが強く出た 「エキスポ ヒロシマ」 「ズーディザイア」 「モノノケダンス」 、カラフルな輝きが滲み出る 「少年ヤング」 「リンギンベル」 、ずっと聴いてると陶酔感すら湧いてくる長尺ミニマル曲 「スーパースター」 など、肩の力を抜きつつしっかり彼らの個性/テクノアーティストとしての手腕を発揮した秀作だと思います。


Rating: 8.2/10
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