FUJI ROCK FESTIVAL '08 2日目


昨日に続いてフジロック2日目。


筋肉痛と日焼けの痛みで 「うぅー」 と唸りつつ出発。若干寝坊気味だったけどまあ大丈夫か…と思ってたらシャトルバスが予想以上の人混みで焦った。パタパタとステージに急行。この日も昨日と同じくほぼ晴れ (ときに雨) 。今日はちょっと体力温存で行こうかという考えで臨みました。


eastern youth @ GREEN STAGE
10分ほど遅刻。イースタンは 「旅路ニ季節ガ燃エ落チル」 だけ聴いてて、それは非常に素晴らしいと思ったのですけどそれ以降は何となく聴いてないという状態だったのですが、やはり他の曲もだいたい同じような感じですね。音的にはエモ/パンクの部類だけど、感情の発し方が欧米のソレとは確実に違う。日本人らしいワビサビに溢れ、グッと地に足のついた湿っぽくも力強い泣き。吉野寿はオッサン臭いジョークを軽妙にカマしつつ、メロディを一つ一つ踏みしめるように歌い、絶叫を轟かせる。演奏も骨太なパワフルさがあって、堅実だけど豪快。 「日本のロック」 の代表格とされるのもよく分かるというか。メロディの開け方がグリーンのスケールにも合ってたと思うし、聴いててとても気持ち良かったです。でも 「夏の日の午後」 が聴けなかったのは心残りだなー…冒頭に演ってたりしたら泣く。


移動中に凛として時雨をチラ見。相変わらずの手数過多な鋭角サウンドが聴こえてきて少し嬉しくなったのですが、よく見ると客の棒立ち率が高そう…。2日目の頭はイースタンか時雨かで迷ってたのですが、イースタンで正解だったかも。 「感覚UFO」 とか個人的に好きな曲なのに反応薄いっぽいし。


鈴木慶一/Captain HATE and The Seasick Sailors feat. 曽我部恵一 @ ORANGE COURT
後期 cali≠gari のプロデューサーであるところの鈴木慶一氏 (どんな紹介だ) 。この日は最新アルバムに関わったメンツによるバンド編成、ってことでいいですかね。本人は船乗りらしく黒白のボーダーで登場。いやはやしかし、円熟味のあるポップスというのがこれほど心地の良いものとは。慶一氏のヴォーカルは何処かソウルフルな深みを感じさせ、メロディは牧歌的で人懐っこいけど地味には陥らず、ちゃんと楽曲の中心に立って魅力を放ち、引き込んでくれる。大らかで緩いムードも彼の人柄によるものだろうし、ポップであることに矜持と余裕を感じさせる、格好良いおじいちゃんでした。あとキーボードに上野洋子がいるのには驚いた。そう言えば彼女のアルバムにも慶一氏参加してたな…。エキゾチックな歌声も披露していて、バンドにひとつ華を添えていました。それとスペシャルゲストで山本精一氏登場。ついさっきも PARA で同じステージに立ってたはずだけど、よく働くなこの人。無表情でフィードバックノイズを放ち、こちらは毒を添えていた。


トクマルシューゴ @ GYPSY AVALON
初めて聴きました。海外でもリリースを展開する宅録ミュージシャン。 「100種類以上の楽器を駆使する音の魔術師」 と紹介されてましたが、今回はアコギ中心のシンプルな4人編成。本人意外と技巧派でテクニカルなリフをジャカジャカ弾いていましたが、曲自体は寂しげな感傷を感じさせるあっさり味のポップスでした。うむー悪くはないけど、己のセンスを見せつけるようなスノッブ臭さも何となく感じてしまい、のめり込むまでは至らなかった。斜に構えた感じの MC もいかにもって感じだし。丘の上の方でおねむの時間と相成りました。


TRICKY @ RED MARQUEE
初めて聴きました。ブリストル出身のトリップホップ系ミュージシャン、くらいの認識だったんですが、ライブは女性ヴォーカルを擁するバンド編成。曲によっては硬質なビートやギターサウンドの強く効いた躍動感ある曲もあって、トリップホップというかインダストリアルの領域な気も。またステージはほとんど逆光、女性ヴォーカルが歌うときは TRICKY はずっと後ろを向いたままで、あまり本人は積極的には前に出てこず。それが逆にカリスマ性を演出する狙いなのか、それともバンド全体をフィーチャーしようとしてるのかもしれませんが、何にせよ最初はそこに違和感を感じてました。もっとフロントに立って存在感を積極的にアピールすれば良いのにという。でも冷徹な緊張感漂うムードの中、嗄れた声で同じフレーズを絞り出すように何度も繰り返す姿は率直に格好良いと思いました。表現することに対してとても真摯な印象を受けた。律儀に 「Thank You Very Very Very Much」 と締める辺りも筋が通ってる感じで良かったです。そういうのは大事。


PRIMAL SCREAM @ GREEN STAGE
最初は MARK STEWART 見ようかとも思ってたんですが、オレンジまで歩くのがしんどかったので (えー) 近くのグリーンに来ました。しかしと言うかやはりと言うか、あまりピンときませんでしたね。ロックンロール演るにしてもなんか芯の感じられない緩い音で、現在進行形というほどの勢いがいま一つ感じられなかった。個人的に彼らの作品で一番好きなのは 「XTRMNTR」 なのですね。あのロックやらテクノやらヒップホップやらを貪欲に詰め込んで毒々しい瘴気を吐いてた作風がとても刺激的だったので、2年前の 「Riot City Blues」 は全くもってダメだったし、正直 「Rocks」 とかもあまり良いと思わないのです。新曲も一聴した限りだと相変わらずポジティブなムードでやっぱり肩透かしな上、序盤の 「Miss Lucifer」 も原曲のダークさがほとんど吹き飛んで普通のロック曲になってたのがひどくがっくりきた。そんな感じで残念な印象でした。


以上でこの日は早めに撤退。明日に続きます。