FUJI ROCK FESTIVAL '08 3日目


速いような遅いような、とにもかくにもフジ最終日です。


昨日は割と一日中ゆるゆる見てたので、今日は体力使い果たす方向で行きたいなーと思いつつ、昨日よりも早めに出発。日陰でぼけーっとメシ食いながら人間ウォッチングに興じたり。そうそう去年はカレーばっかり食ってたんですけど今年のカレーはどの店もあんまり旨くなくて、代わりにケバブサンドばっかり食ってました。ケバブ旨いよケバブ。あと餅豚串も旨かったにゃー。どうでもいいですねすんません。また感想です。


MONO @ WHITE STAGE
2年ぶりくらいに見たけどまるで変わってませんでした。穏やかなクリーントーンで始まり、次第に轟音へとすり替わって荒々しく弦を掻き毟り、やがてメンバー皆気力を使い果たしたかのようにうなだれて轟音の残響だけが後に残る。ザ・ポストロック!まるで YOSHIKI のドラムソロみたいなお家芸を見てるようだわ…。もう新しい発見とか何も無かったうえに昼間の1発目にはあまり合ってない気もしたんですが、微かに聴こえるメロディの切なさが時に心地良くもあったり。しかしこれなら Mogwai とかで十分事足りるよな…というモヤモヤした思いは拭いきれませんでした。表現に真摯なのは良いけど、それプラス何かしら客観的な視点が欲しい。


WRENCH @ WHITE STAGE
存在自体は前から知ってて、でも実際に聴いたのは去年の 「nitro」 が初めて。それが結構気に入ってたんですが、ライブはそれ以上に良かった。サウンドチェックの時点でスペーシーなシンセが徐々に広がっていき、そのまま本番に雪崩れ込み。メンバー4人の阿吽の呼吸によるグルーヴ、身体に直接響くラウド感、そして SHIGE の操るシンセとハイトーンヴォイスによるテンション高いアジテーション。それらが一体となって生み出される突進したりうねったり空高く開けたりの強靭なアンサンブル。正直人はあまり多くなかったんですが、そのぶんモッシュピットは一層苛烈さを増し、かなりデンジャラスな状態に。でも俺も我慢できずにモッシュに参加したくらい音の迫力が凄かった。テクノ由来のアッパーな高揚感とロックの肉体性が合致した、この上なく格好良いライブでした。個人的にこの3日間で一番はしゃぐことが出来た。あと SHIGE はもっと奇才 (変態) チックな人かと思ってたけど、実際見ると気の良さそうな兄ちゃん風でしたね。全裸になることもなく (笑) 。


SEASICK STEVE @ FIELD OF HEAVEN
全くの初見。ステージには椅子と数本のギター、あと簡単なリズムマシーンのみ。超シンプルなアコギ/エレキ弾き語りスタイルでした。定刻になると酒瓶片手にガラの悪そうな爺さんがヨタヨタ現われてきて笑う。もうすでにだいぶ酔っぱらってるんじゃないかこの人…。まるで自宅に居るかのようなくつろぎっぷりで、しわがれた声でぶっきらぼうに歌うんですが、これが実に味のある古き良きカントリー/フォーク。時には呟くように低く迫り、時には大きく朗々とがなり立てるその歌は、奥深い円熟味とともにエンターテインメント性も強く感じさせる、ある種の歌心がひしひしと感じられました。またむっくり立ち上がってコールアンドレスポンスを始めたり、暴力的にジャカジャカかき鳴らしたかと思えば急にゴトンとギター落っことしたり、おもむろに酒やギターの解説 (どこそこの何年製とか) 始めてはまたグビグビ飲みまくり、爺さんあまりにも自由すぎる (笑) 。スタッフが 「ったくしょーがねーなー」 風に絡まったコード解いては客が和やかに笑うという、えらいアットホームな空間が出来上がってましたね。彼の憎めない人柄が滲み出た、素敵なライブでありました。


そんで SEASICK STEVE の演奏中にも雷が響いてたんですが、演奏終了と同時に強い雨に見舞われ、足場は泥塗れで一気に状況悪化。もう靴がグショグショで足がさらに重い…。この雨は結局夜まで続き、体力やら体温やらを執拗に奪うことに。こんなに手強いとは思わなんだぜ雨…。次のレッドまでの道が異様に遠く感じたのでした。


THE GO! TEAM @ RED MARQUEE
見るのは初めてでした。雨のせいもあるのか知らんけど超満員。ううージメジメして居心地悪い…。でもライブ自体はなかなか良かったです。ヒップホップの躍動感とキュートなギターロックの要素を上手く掛け合わせた、華やかなパーティーチューンの連打。エアロビクスばりにブンブン動く女性ラッパーを筆頭に皆元気良く煽り、自然に盛り上がれました。能天気で牧歌的な 「Grip Like a Vice」 「Doing it Right」 なんかも良いけど、 「Bottle Rocket」 「Keys to the City」 のように勇壮なムードの中に若干の切なさを混ぜられると、やはりグッときてしまう。単純に曲の良さとはっちゃけた勢いのある演奏で楽しめました。ただどうも客にイタい感じの人が多くてねえ…。若干無理して飲んで背伸びした弾け方してるようなお方が散見されて、まーどんな風に楽しむかは個人の自由ですけども、なんかそのー (ry


THE BREEDERS @ WHITE STAGE
見るのも聴くのも初めて。 Pixies の Kim Deal を中心とするバンド、ということで音の方も Pixies を彷彿とさせる感じでした。オルタナ的なささくれ立った歪みをカマすけどノリは弛緩してて、ほんのりポップながら部分部分が変な方向にねじ曲がってる感じ。 Kim はどう見ても完全に大阪のおばちゃんでした。自分で言った冗談にガッハッハと笑うとことか、もうまんま。そんでライブの方は…うむー、いまいち面白味を見つけられませんでした。マニアックな曲を淡々と演ってるだけで、初見の俺にはキツかったです。寒くて寝そうになってた。


ゆらゆら帝国 @ WHITE STAGE
ライブはちょうど3年ぶり。3人とも無表情なのに妙に生々しい存在感を醸しており、相変わらずの妖怪っぷりは健在なようで嬉しい。しかも今は曲まで妖怪じみてますからね。1曲目 「やさしい動物」 は坂本氏エビ反りジャンプ+奇声に始まり、ギターの代わりにマラカス持って歌唱…なのですけど、うわー完全にリズム隊とテンポずれまくってて気色悪いことこの上なし。もちろん意図的なことなのですけども、1発目からカマしてくれるわこの方々。続く 「ソフトに死んでいる」 「できない」 では4つ打ちの硬質なグルーヴを前面に出し、 「夜行性の生き物3匹」 「あえて抵抗しない」 で沸点に到達。その後もギャグとしか思えない 「タコ物語」 、痙攣ギターソロ炸裂の 「ロボットでした」 、ストレートなブギーと化した 「3×3×3」 など色んな意味で見所多数。そしてラスト 「つぎの夜へ」 「無い!!」 ではサイケデリックな深みの極致へと沈んで終了。最早まともなギターロックはほとんど無くなったけど、それでも彼らの魅力をしっかり再確認できたので良かったです。


RODRIGO Y GABRIELA @ FIELD OF HEAVEN
大トリです。3日間連続出演だった彼らですが、このヘヴンが一番良くなる気がしたので楽しみを取っとくつもりで前2日はあえてパスしたのですよ (2日目は出演キャンセルになったけど) 。それくらい期待していたのですけども、その期待を上回るステージングを披露してくれました。 Rodrigo は流麗な速弾きの中に Deep Purple 「Smoke on the Water」 などメタルネタを仕込むなど遊び心も見せ、 Gabriela はボディ全体と指全体を駆使してパーカッシブなリズムを激しく打ち鳴らす。間近で見てもどういう弾き方してるのか全く分からんわ…。そして元の楽曲が素晴らしいのは勿論のこと、その楽曲を崩してさらに自由に発展させ (恐らく新曲やアドリブも多分に交え) 、随所でコールアンドレスポンスも自然にこなし、躍動的でエンターテインメント性溢れる展開を繰り広げてました。さらには2人の掛け合いによるギターバトルや各々のソロを挟むなど様々な趣向を凝らし、約90分をまるで集中力切らせずに引き込んでくれた。ラストの 「Tamacun」 「Vikingman」 「Diablo Rojo」 といった必殺曲オンパレードもバッチリ。あとバックにはスクリーン、そこに超絶技巧を映し出す小型カメラが用意されていたのですが、それはなんか機材の調子が芳しくなくハッキリ映らなくて残念。重箱の隅つつくとしたらそんくらいです。素晴らしかった。


以上で今年のフジロックは終了です。ベスト3は RODRIGO Y GABRIELA 、WRENCH 、 MY BLOODY VALENTINE ですかね。もちろんそれ以外にも良いアクトは沢山あった。今年はやはりメンツが良かったです。プライマルやバースデイが2日連続かよ云々はぶっちゃけ些細な問題で、それ以外に見所は沢山ありましたね。見たいものは逃さず見れたし、満足の気分で帰路についたのでした。とりあえず来年も行くならもうちょい雨対策しておこう。