JAMES BLACKSHAW 「LITANY OF ECHOES」

Litany of Echoes (Dig)

Litany of Echoes (Dig)

81年生まれ、ロンドン出身のギタリストによる6作目。初めて聴きました。


基本は12弦アコースティックギターが一番の幹にあり、装飾としてピアノもしくはヴァイオリン、あと環境音的ノイズが加わる程度のシンプルなインストゥルメンタル。なのにどの曲も果てしなく深く、物悲しい。絶え間なく爪弾かれるアルペジオはミニマルな反復を執拗に繰り返し、その中で少しずつ音を足し引きしながら感情の色を移ろわせる。その様はひどく幻惑的な恍惚を湛えつつ、思わず背筋を正してしまうほどのストイックな緊張感に貫かれていて、ひどく意識を惹きつけられます。優しさと険しさ、冷たさと暖かさ、陶酔と覚醒、そういった相反する感情が複弦の隙間からポロポロ零れ落ちてくるかのよう。冒頭 「Gate of Ivory」 とラスト 「Gate of Horn」 が対を成してるからかコンセプチュアルな統一性も感じられ、まさしく一つの確固たる世界を作り上げてます。また 「infinite Circle」 ではアコギ/ピアノ/ヴァイオリンがしなやかに融和して光の感じられるハーモニーを奏でており、音の響きがより一層美しさを増していて素晴らしい。収録曲の半分が10分超だし敷居の高い作品ではありますが、脳ミソの洗濯には最適な一枚かと。


Rating: 8.2/10
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