2008年間ベスト10選


今年も残り僅かとなりましたので、例によって例のアレをやります。去年は順不同で並べてるだけだったのですが、今年はちゃんと順位をつけてみようかなーと。その方が (俺が) 楽しくなりそうだから、そんな気がして…。というわけで以下に10枚。



10. The Subways 「All or Nothing」

All Or Nothing

All Or Nothing


去年の Paramore に当たる枠を今年はこのバンドが持って行きました。若さゆえの勢いを骨太な演奏とともにストレートに打ち出した痛快ロッケンロールサウンド。男女ツインヴォーカルの使い方も非常に俺好みで大変格好良かったです。やっぱサマソニで見とけば良かったかもなー。
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9. James Blackshaw 「Litany of Echoes」

Litany of Echoes (Dig)

Litany of Echoes (Dig)


前作 「The Cloud of Unknowing」 も遡って聴いたのですけど、こちらの新作の方がダークな重厚感を前面に出しててトータリティ的にも優れてると思う。ストイックにミニマルな反復を繰り返し、思考の底へとひたすら深く潜っていくかのようなアルペジオの響き。思わず背筋を正されるほどの緊張感が凄まじくビリビリきました。
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8. Gang Gang Dance 「Saint Dymphna」

Saint Dymphna

Saint Dymphna

原始的でありながら未来的、それがとても現代的という不思議な感覚の音世界。洗練された音のテクスチャーや挑発的とも思える躍動感、安易な予想を覆すスリル感がとても面白かったです。何と言うか、実験性があくまでスパイスとして絶妙なバランスで配分された、手が届かなさそうで微妙に届くポップアート感覚って感じで。
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7. HEALTH 「HEALTH//DISCO」

Health: Disco

Health: Disco


ノイズ/ジャンクバンドという原形をリミックスの名の下に好き勝手ぶった切り、下世話なアゲアゲディスコに仕上げたら別の意味でジャンクになりました。だけど不思議としっかりトータリティが保たれてるのはリミキサーのチョイスが良いからですかね。同じ曲でも切り取り方を変えるだけで十分別曲として機能してるし、センスの良さを見せつけられた一枚。
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6. Goldfrapp 「Seventh Tree」

Seventh Tree

Seventh Tree

今までとまるで方向性が違うというので 「Supernature」 も聴いてみましたが、やっぱ俺はこっちの方が断然好み。暖かく眩しい陽の光が全てを滲ませるような、甘く切なく美しいファンタジーポップス。 M83 の新譜も同じような系統だと思うのですけど、こっちの方がアコースティック楽器の響きを重視した現代的な作風なので入り込みやすかったです。ジャケットも素晴らしい。
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5. 夢中夢イリヤ -il y a-」

イリヤ-ilya-

イリヤ-ilya-

小奇麗になって前作で見せた怨念が薄らいでる、リズム隊が弱い、楽曲のパターンが単調、とか色々欠点もあるんですけーどーもー、何だかんだで何回も聴いてしまう魅力をこのアルバムは確実に持ってるのです。というか何でそこまで俺のツボを知ってるんだこのバンドは。アンチマッチョイズムによる雑食性メタルポップサウンドから俺は永久に逃れられない。タワレコ特典の 「赤と青の革命家」 も超格好良いぜ。
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4. Hot Chip 「Made in the Dark」

Made in the Dark

Made in the Dark

コミカルで無機質なジャンクフードみたいなテクノポップサウンド。そのダンスグルーヴと程良くスウィートなメロディがただひたすら心地良く、B級テイストを塗したアイディアも窓口を広げるのに十分に貢献。 「Ready for the Floor」 「One Pure Thought」 などキャッチーなキラー曲多数で、各楽曲の粒が立ってるのも良い。今年のサマソニでのライブがとても良くて、その後聴き返したらさらに身体に響いてきました。
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3. Portishead 「Third」

Third

Third

それなりにポップで聴きやすくインテリジェントに纏められてはいるけど、やはりこれは吐瀉物的だと思う。疑念とか信頼とか孤独とか繋がりとか希望とか絶望とか、そういった相反する感情を同じ場所に溜めこみ続け、さすがに身体に毒だから11年ぶりに吐き出した、真綿で首を絞めるように迫る業の歌。ひどく矛盾してて惨めでどうしようもなくて、生きてるって感じがして素晴らしいよ。
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2. Deerhunter 「Microcastle/Weird Era Cont.」

Microcastle

Microcastle

ジャンル的にはシューゲイザーを導入したインディロックということで、とても甘美で浸りやすく単純にポップスとして一級品なのですが、 「枯れ気に花を裂かせま死ょう」 とかうわ言呟いてそうな死に顔ジャケのせいか、どうしようもない無気力さや不穏な疑念、悪意なんかを裏側に感じずにはいられない。甘さと毒気がドロドロとマーブル模様を描くサイケポップソング集。こんなの聴いてるからますます引きこもりになるんだっつーの。
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1. sgt. 「Stylus Fantasticus」

stylus Fantasticus

stylus Fantasticus

メンバー自身も ROVO リスペクトを公言してるようで、確かに ROVO を彷彿とさせるパーツはそこかしこに見つけられるのだけど、あくまでロックバンドとしての劇的なダイナミズムとファンタジックで耽美なイメージを前面に押し出してるという点で、俺は ROVO 以上にこのバンドを買っています。2次創作がオリジナルを凌ぐというのはよくある話ですしね。どこをどう聴いても超絶素晴らしい。月とか海とかオーロラとか嵐とか、そういうのを俺はこれ聴きながら思い浮かべてうっとりするので邪魔しないでください。
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こんな感じで、今年は何かやたら Pitchfork かぶれになったような気のする一年でした。あまり良くない傾向だとは思うんですが、実際色々と参考になるのですよね…。来年は変に意識が偏ることなく、もっと方々にアンテナを広げていきたいと思ってる所存であります。そんな感じでちと早いですが今年の更新はこれでお終い。それでは皆様良いお年を。