FEVER RAY 「FEVER RAY」

Fever Ray

Fever Ray

The Knife のヴォーカリスト、 Karin Dreijer Andersson によるソロユニットのデビュー作。


中身は80年代ニューウェーブシンセによる隙間を強調した音作りや、様々な加工を施されて幽霊のように漂う歌声が不穏な緊張感を煽る、 The Knife 本隊とも共通項の多いゴシックホラーエレクトロニカ。しかしその The Knife がシャープな4つ打ちのダンスグルーヴ、何処となくエキゾチックなメロディを導入した比較的受け入れやすい作風だったのに対し、今作はそれらの要素を排除してさらに掴み所のないアブストラクトな仕上がりになってます。本隊が全く踊れないホーンテッドハウスであるのと同様に、こちらは全く安らげないホーンテッドアンビエント。粘着的な重苦しさのある 「Concrete Wall」 やリバーブの深さが異様な 「Keep The Streets Empty For Me」 あたり特に、まるでサバトの儀式にうっかり迷い込んでしまった気分になって嫌な汗をかく。ひどくマニアックな作りで一聴したときの取っつきは本隊以上に悪いですが、明かりがパッと消えた闇の中で徐々に目が慣れてくるように、聴き込むほどにその音のディテール〜全体像が把握できてくる気がする。少なくとも本来の持ち味であるスリリングな毒気の強さは全く薄れてないです。魘されたい方へ。


Rating: 7.4/10
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