Crystal Antlers 「Tentacles」

Tentacles

Tentacles

カリフォルニア出身の6人組によるデビュー作。これが Touch & Go の最後の新作とのこと。


ヤケクソ気味のテンションで高らかに叫びまくるヴォーカルや、変則的にストップ/ゴーを繰り返すアグレッシブな演奏はほんのり The Mars Volta を彷彿とさせつつ、米国出身にも拘らず昭和歌謡風味の枯れた哀愁を漂わせるメロディ、サイケデリックに滲んだ音作りがその勢いをストレートなものとはせず、何処か変態じみた不敵な如何わしさを感じさせる。まるでチンドン屋が US インディに開眼したかのようなエモーショナルハードコアの突然変異種で、独特の捻れたクセが奇妙な中毒性を持っていて面白いです。しかし自主制作の EP ではもっと音全体が渦を巻いて暴れ回るような、ノイズ塗れのカオティックな荒々しさがあったはずなんですが、このフルレンスではオルガンの音色が前面に出ているからか比較的まとまりのある音像に仕上がっており、それがかえって演奏のアグレッションを削いでしまってる気がする。瞬殺パンクチューンの表題曲 「Tentacles」 など刺激的な場面もありますが、緩やかになるパートでどうもその刺激が続かず、間延びしがちな印象が残ります。もう少しタイトに纏めてほしかった。


Rating: 6.6/10
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