椎名林檎 「三文ゴシップ」

三文ゴシップ

三文ゴシップ

純粋なソロ名義としては6年ぶりとなる新作。


ゲスト陣が共通してるというのもあるけど、 「平成風俗」 や後期東京事変の流れを汲む、ジャズやクラシック、シャンソン辺りからの影響を受けた楽曲がメインを占めてます。ピアノ/キーボードやストリングス、ホーンなどの音色を重視し、それらが意表を突くギミックではなくメロディと自然な馴染み方を見せ、ムーディな歌モノとして洗練された内容。 「都合のいい身体」 「二人ぼっち時間」 に至ってはミュージカル風な華やかさもあったり、これが今現在の彼女の演りたいモードなのだろうと。しかし前から感じていたことですけども、本人のキンキンに擦れた声質、歌謡的な濃さを孕んだメロディとジャズ/クラシックって相性悪いですよね…。そのミスマッチがまた異形の個性を生み出してるとも言えますが、どうもそのムーディ要素が薄っぺらいと言うか、本来の個性と相殺してしまってる気がしてのめり込めない。猥雑な疾走感が格好良い 「カリソメ乙女 (DEATH JAZZ Ver.)」 やドラムンベース×オルタナ歌謡な 「尖った手口」 なんかが、異色曲ながら結局 「無罪」 「勝訴」 至上主義の俺的には一番響いてきたし。昔を凌駕するほど説得力があるかと言うと、まだ微妙だなーという印象でした。


Rating: 5.8/10
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