SUMMER SONIC 09 OSAKA 3日目


サマソニ3日目。やっぱりフェスは3日間ないと山あり谷あり感が出なくてテンション上がらないよね!


雨。
いやまあフジロックの雨に比べたら全然マシなんですけども、サマソニに5年間通った中でこんだけ雨に見舞われたのは初めてです。オイラ自分では晴れ男だと思ってたんだけど、今年は何かと雨を呼んじゃうにゃー。地面はそんなにグチャグチャにはならなかったですが、なんせ風が強いもんでやたらと視界を遮られ、音もさらに悪くなるという。夕方になるとさらに雨脚が強くなってくるし、昨日とは別の意味でやはり舞洲アリーナに引きこもる羽目になりました。環境が整ってるとフェス感が薄れるとかさ…もういいんだよ別に…。


HOLLYWOOD UNDEAD @ OCEAN STAGE
名前通りハリウッド出身の6人組。全員奇妙なマスクを被ったその出で立ちから即座に Slipknot を連想するんですが、楽曲の方はむしろ Limp Bizkit とかに近いミクスチャーヘヴィロックでした。メンバー全員がフロントに出てマイクリレーを行い、ヒップホップの緩くバウンシーなノリで軽快に客を煽る。というか実際に演奏してるのはサポートのドラムとギターだけで、ほとんどカラオケ状態だったのには面食らった。そう来るかよ。普通に演奏するよりも予想外でインパクトあると言えば確かにそうなんだけど、何か腑に落ちないモヤモヤが残るんだよなー。曲自体もヴィジュアルから予想されるほどのクセはなく洗練されていて、ちょっと好みとはズレるタイプでした。残念。


MASTODON @ OCEAN STAGE
今年のサマソニメタル枠のひとつ。新作 「Crack The Skye」 が思いきりプログレ方面に寄った作品だったのでライブはどうなるかと思ったけど、ライブでは普通に過去の曲も演ってました。個人的に彼らはヘヴィメタルと言うよりも、ヘヴィかつテクニカルな進化を遂げたロックンロールの亜種と言った方がしっくりくる。ブルータルな猪突猛進の勢いで迫り、脊髄反射的にキャッチーなフレーズをガシガシ挟んでくる蛮族ヘヴィロックンロールっていうね。 「Bladecatcher」 「The Wolf Is Loose」 等々聴いてるこっちも一撃で血が滾るほどの迫力。この時も風が吹きまくっててほとんど何が鳴ってるか分からんくらい音悪かったけど、とりあえず演奏の勢いは伝わってくる。あとは気合でカバーだ!新作からは 「Oblivion」 「The Czar」 などが披露されましたが、以前の曲と違和感ない形でセットリストの中に組み込まれ、演奏力の高さと表現力の幅広さをアピールするのに良いアクセントとして機能していたと思います。そんでラストはギターリフ背面弾きの 「March Of The Fire Ants」 。うお格好良えー。総じてこちらの期待を十分に満たしてくれるアクトでした。


AA= @ SONIC STAGE
こないだの新譜がなかなか良い感じだった紅麗死異剛市の新バンド。ライブもほとんど音源と同じ感じでしたね。シンセサイザーなどのデジ要素とヘヴィロックの融合、さらに明快なポップネスを上手く挿入してキャッチーに仕上げるという、ライブでは鉄板の盛り上がりな楽曲群。ハードコアな瞬殺曲 「I HATE HUMAN」 にヘヴィマーチポップ 「PEACE!!」 とくれば自然と身体も動くのですが、うむー良くも悪くも予想の範囲内と言うか、良いのは良いんだけど思った以上の衝撃とかはなかったです。ちょっと期待し過ぎだったかもね。紅麗氏ヴォーカルがちょっと辛そうだったし。


THE HORRORS @ SONIC STAGE
英国出身の5人組。正直ライブに関しては一番期待していなかったのだけど (笑/だってこういうゴスの類にまともな演奏力を求めたらダメって昔から痛感してるから) 、しかしこれが予想以上に良かった。メンバー全員黒基調のゴシックかつスタイリッシュな出で立ちで登場し、ヒステリックなノイズを発する剃刀ギターと浮遊感のあるシンセが混じり合い、ヴォーカルは常時リバーブかかった状態のミッドローヴォイスで不穏さと色気を振り撒く。ガレージロック、ポストパンク、シューゲイザーといった要素を消化したゴス/ポジティブパンクの正当後継者といった感じで、その淫靡で毒々しいオーラが身体を徐々に浸食するかのような、中毒性のある刺激が感じられました。ヴォーカルの Faris は長身に長い腕を大きく広げ、吐き捨てるように歌う様がフロントマンとしてのカリスマ性を感じさせたし、ストレートな躍動ではなく内側からジワジワくる攻撃性に少なからず痺れさせられました。最後までその緊張感を緩めずにクールなダークネスを貫いて終了。何だか認識を改めさせられた気がする。もっかい音源ちゃんと聴いてみようと思いました。


TOM TOM CLUB @ DANCE STAGE
Talking Heads のリズム隊夫婦を中心としたバンド。正直このバンドにもトーキングヘッズにも思い入れは皆無です。そもそも最初は Elvis CostelloThe Specials で締めようかと思ってたけど、ほらやっぱ外雨だし (えー) 。それでこの日のメンバーは全部で6人。黒人ラッパーにシンセ兼パーカッションにターンテーブルに何かと速弾きをカマすギタリスト、そんなヴァラエティ豊かで陽気なメンツが集まって、テクノ、ファンク、ヒップホップ、ニューウェーブといったジャンルを咀嚼し、華やかで可愛らしい80年代エレクトロポップとして構築した楽曲を披露。随分と弛緩したグルーヴと陽性のパーティムードが会場全体を包み、巧みにコールアンドレスポンスも挟むショウアップステージで、なんか幼児向け番組とかで流れてそうなほのぼの感がフェスの中では新鮮でした。始まる前はもっと派手でイケイケなのを予想してたので初めは肩透かしだったけど、聴いてるうちにコレはコレでアリかと思わなくもない。ジャンル云々など小難しいことを感じさせない、良い意味での敷居の低さが好印象でした。途中から後ろに引っ込んで寝てましたが。


LUCIANO presents AEther @ DANCE STAGE
まず客の少なさに笑う。確かにトリの中では知名度的には一番弱いだろうけど、開演の段階でも100〜200人くらいか?サマソニでこんだけ過疎ってる所に出くわしたの初めてだぜ…。でももう泣いても笑っても最後だし、今更余所にも行けないので腹を括る。このステージのコンセプトは 「音を見る」 ということでしょうか。ステージには Kraftwerk のようにラップトップの置かれた台座が6つ並び、音を鳴らしてる台座の支柱が色とりどりに光るという仕組み。 LUCIANO はそれらの前に指揮者のごとくスタンバイ。スクリーンでも音と共鳴するように虹のような色が様々な形を描き、さらに土着的パーカッションがサウンドに単なる無機質では終わらせない幽玄な奥行きを与えるという。その試みが独創的で革新的なものなのか、と問われるとちょっと分からん所もありますが、とりあえず中心にあるのはテクノ/トランスの4つ打ちダンスグルーヴなので兎にも角にも踊れ!ノンストップで4つ打ちの熱が膨張と開放を繰り返すガチンコダンス勝負。もう4つ打ちさえあればそれで良い。人少ない方が自由に身体動かせてむしろ好都合だわ。60分間ひたすらノり倒し、最後にはパーカッションが 「さくらさくら」 のフレーズを雅やかに奏で、その後何故か LUCIANO の愛娘がパパの元にダッシュ→だっこというほんわかムードで終了。 LUCIANO って親バカ?


以上でサマソニは終了です。最終日はマストドンも良かったけど、意外性という点でホラーズがベストアクトということで。やっぱりサマソニはフェスと言うよりショウケースみたいな感じで、単純にライブを楽しみに行くっていうスタンスで臨んだ方が良いですね。やっぱり暑すぎて野外にいたくなくなるもん。それにしちゃやっぱり音悪いですがね…。なんか今年はやたらと音の悪さが目立った気がする。海が近くにある以上ある程度は仕方のないことなんですけども。来年行くかどうかはやっぱりメンツ次第です。サマソニはメンツが命だからね。