THE XX 「XX」

XX (Dig)

XX (Dig)

ロンドン出身の3人組によるデビュー作。


ひどく冷めた音。ニューウェーブとインディロックを同列に捉えたローファイ型バンドサウンドですが、必要以上、いや下手したら必要な部分まで削ぎ落してるかもしれないシンプルさが印象的です。全編通して各々のパートがほとんど単音弾きで鳴らされ、和音やエフェクトによる厚みは徹底的に排除した隙間だらけのアンサンブル。男女のツインヴォーカルも一定のテンションで淡々とメロディをなぞるのみで、まるで音に感情を込めるということを頑なに拒否してるかのよう。しかしそこから立ち上るメロディの仄かな切なさには妙に引き込まれます。何処となくノスタルジックでもあり、感傷や諦め、憂鬱や虚無感、それらが複雑に入り混じったブルーな感情の機微を純度高く表現してるようで、聴けば聴くほど深くハマっていきそうな奇妙な魅力があると思います。感情を排することでより感情の本質に近づくという逆説的アクロバシー。特に女性ヴォーカルの微かに震える歌声には何か輝くものが奥底に宿ってそう。聴きようによっては Suzanne Vega や Stina Nordenstam に通じるかもしれない新世代ポップスです。


Rating: 7.8/10
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