小島麻由美 「ブルーロンド」

BLUE RONDO

BLUE RONDO

オリジナル作としては4年ぶりとなる8作目。


今回の一番の特徴はドラマーが ASA-CHANG から八馬義弘 (元デキシード・ザ・エモンズ) に交代したことですね。それまでの深くファットにうねるグルーヴから、直線的で真っ当にロック的なリズムに変化。もちろん小島嬢本人のあどけなさと妖艶さが交錯するヴォーカルや、ジャズ/ブルーズ/昭和歌謡といった音楽的要素は健在なのですが、そのリズムの変化と低音の軽い録音のためか全体的に軽やかで聴きやすさが増し、逆に言えばそれまでの場末のキャバレー的な、ダークで濃厚なムードは抑え目。それが 「眠れない夜」 「嘘つき娘」 といったロックンロールな勢いのある楽曲にはジャストで、 「サスペリア!」 「アラベスク」 のように以前の流れを汲むムード重視の楽曲は少し弱いといった感じ。最初はその毒気が減退したような変化に少し戸惑いましたが、 The Beatles など60年代ロックサウンドを意識した結果と捉えれば分からなくもないし、決して彼女本来の個性が損なわれてるわけではない。あざとさの生じがちな昭和歌謡路線をこれだけ自然に聴かせてくれるセンスの良さは、やはり彼女ならではといった所。聴き込むほどに味の増してくるスルメ盤ですね。


Rating: 7.4/10
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