東京事変 「スポーツ」

スポーツ

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バンドとしては2年半ぶりとなる4作目。


椎名林檎と他メンバーの個性がイマイチ噛み合っていない。また (これは事変に限らず最近の林檎関連全般において) ムーディ/オシャレ/洗練に向かう方向性に違和感や物足りなさを感じる。個人的には彼らの作品を聴くたびにそういった思いを感じてたのですが、今作ではその辺の不満がほとんど解消されてますね。もともとプレイヤーとして一流の手練が揃っているわけですが、今回全体的にアッパーで快活な勢いのある曲調が多く、最近の林檎嬢の志向が演奏陣のテンションの高さによって良い具合にブーストされており、テンポ良く一気に聴き通せる。曲の中でメンバー各々のイニシアチブが均等に表れ、互いに個性を主張し合い、競い合ってる感じがします。そういう意味で実にバンドらしい充実感がある。けれどもスリリングな緊張感というのではなく、ベテランの余裕、安定感というのも同時に感じる。オープナー 「生きる」 の不意を突くアカペラアレンジや 「スイートスポット」 の R&B ポップな曲調も、彼ら流のエンターテインメント精神という感じで飄々とこなす、この圧倒的な余裕さが他とは確実に違う。各曲のバランス/粒立ちも良いし、東京事変のカタログの中では一番でしょう。


Rating: 8.2/10
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