MISERY INDEX 「Heirs To Thievery」

Heirs to Thievery

Heirs to Thievery

アメリカはボルチモア出身の4人組による4作目。初めて聴きました。


こちらも今月の極道さん。激速ブラストビートと業の深いヘヴィネス、腹の底からブチまけるデス咆哮が鼓膜をズタズタに切り裂くデスメタル/グラインドコアでございます。パンク/ハードコア由来の軽快なフットワークによるアグレッションの印象が強いため、厳密にはグラインドコアとして捉えるべきか。しかしただ闇雲に速い/巧いだけでは血肉に響く体感速度というのは得られませんよね。彼らの場合は一見したところ脳ミソまで筋肉系のメリケンヤクザですが (暴言) 、ブラスト乱舞の中に混ざる多様なリズムパターンの切り返しが実に絶妙で、ハイスピードの中にもロックンロールらしいグルーヴィなうねりを生み出し、身体を強く突き上げてくる。また場面によってはメタル的な男臭い哀愁を不意に差し込んだりと、様々なヘヴィロックの類を咀嚼、収斂して吐き出した故の痛快感が半端ないです。グラインドだけが持ち得る苛烈なまでの即効性を十二分に引き出す、このセンスの良さは冷静な知性によるものか、野生の勘によるものか。特に 「Fed To The Wolves」 の叙情的展開には驚かされた。ジャケット見ただけで敬遠してしまう人こそ聴けば良いと思います。責任は取らんけど。


Rating: 8.4/10
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