The Chemical Brothers 「Further」

Further

Further

3年ぶりとなる7作目。邦題は 「時空の彼方へ」 。


アルバムタイトルは伊達ではない。突っ切っております。テクノ/エレクトロという枠内で作品毎に違ったテーマを持たせていた彼らですが、今作のテーマは 「トランス」 。しかもかなり思い切ったであろう直球勝負です。構成は8曲52分と少数精鋭で練り込まれた長尺曲がズラリ。オープナー 「Snow」 での祝福のようなサンプルヴォイスが心地良い浮遊感を醸し、そこで浮いた身体は次曲 「Escape Velocity」 で一気に宇宙までブッ放す。これってもしや 「Star Guitar」 に匹敵するアンセムかも。アッパーかつタイトに響く4つ打ちが波のように寄せては返し、ダイナミックな起伏を繰り返して脳よりも先に骨肉へ直撃。その後もリズムのヴァリエーションを変えつつ目指す先は一切ブレません。ケムズらしいポップな意匠は忘れずに、ダンスアクトとしての直線的グルーヴの強度が貫かれ、果てしなくオープンに開かれたサウンドスケープが目映いばかり。いやはやこれはここ数作の停滞感を払拭するくらいの吹っ切れ方で、久々に頼もしい健在っぷりを見せつけてくれましたね。彼らは今年こそフジロックに来るべきだったよ…。


Rating: 8.2/10
Links: 【公式】 【公式(EMI)】 【MySpace】 【Wikipedia