FUJI ROCK FESTIVAL '10 1日目


また今年もフェスの季節がやってきました。これで4年連続となるフジ参戦、3日連続の初日です。



運転手 「え〜この度は夜行バスご利用頂きありがとうございます。これから安全運転で…え〜と何処行くんやったかな?」
乗客 「ちょwww」


新大阪から向かう夜行バスの中、 Twitter で前夜祭に乗り込んでる方々のツイートを確認したところ、現地のお天道様非常にお怒りのご様子らしい。雨降ってドログチャってまたかよ!昨年も散々雨に見舞われてヘヴィな思いをしたというのに。でも天気予報によればこの頃が雨のピークらしいので、俺が着く頃には止んでることを期待しつつ、車内でガン寝すること約9時間。着いた!身体の節々がギシギシ痛むけど、とりあえず雨は上がってくれたので良し。風が涼しくて気持ち良い。でも非常に雲が多いので油断ならんなーと思いつつ、服をフェス用に着替え、荷物抱えて会場まで向かう。


相変わらず列が長蛇すぎて全く買う気の起きないオフィシャルグッズ売り場を横目に、会場到着。タイムテーブルを繁々と見つめながら、早速ビールと餅豚串かっ食らう。朝っぱらからサーセンwww ダラダラ飲んでると全然知らない兄ちゃん達から声掛けられ、ウィスキー分けてもらったのでコーラで割って飲む。飲む!出だしからいきなりくてんくてんの状態だけどもうどうでもいいの。とりあえず初っ端はイキの良いのが見たいのでホワイトステージに向かうことに。


THE BAWDIES @ WHITE STAGE
こないだの新譜も良かった新星ボウディーズ。全員スーツにタイでキメたお揃いの衣装で登場。リハからすでにノリノリの演奏をカマしていて否応なしに期待も高まりましたが、その期待にガッツリ応えるステージングでありました。のっけから 「IT'S TOO LATE」 「I'M A LOVE MAN」 「HOT DOG」 とロックンロールチューンをバシバシ連発。ヴォーカル ROY のハスキーシャウトは快調、演奏もギターブンブン振り回して暴れたりと、とにかくフレッシュで威勢が良い。一方で中盤 「I WANT TO THANK YOU」 のようなミドル曲もメロウで味があり、渋さとフレッシュさが絶妙にブレンドされてて実にグッとくる。ロックンロールでエンターテインメントするというのはこういうことだなーと。ロックはオッサンよりも若い衆が演るべき (笑) 。アイドル性というか、華があるしね。ラストは必殺 「YOU GOTTA DANCE」 でブチ上げて終了。満足です。


OGRE YOU ASSHOLE @ RED MARQUEE
オアシスに戻ってまたダラダラとメシ食いつつ、オウガさん待ち。ライブ見るのは2年ぶりくらいで、最近は新譜もちゃんと聴いてなかったんですが、これはちょっとまた聴き直さないといかんなーと。今回とても良かったです。彼らに対しては文系ロック的で地味な印象を抱いていたのだけど、ライブになるとリズムの躍動感が割り増しで、メロディや雰囲気はユルく牧歌的なのだけど演奏のグルーヴでしっかりノらせてくれる。各パートの鳴らす音がそれぞれ同等に主張しながら、有機的に絡んでひとつのアンサンブルを構成するという、メンバー間の呼吸が凄く良く調和してると思った。本当の意味での演奏力の高さ。素朴でありつつ各所にクセを隠し持ったメロディ/アレンジも聴き所が多く、決して押しつけがましいスタイルではないけど、何だか彼らの魅力をまざまざと見せつけられた気がしました。芯がますます強くなってる感じ。あと 「コインランドリー」 はやっぱり良い曲ですね。


MUTEMATH @ GREEN STAGE
toe とモロ被りでどうしようか悩んだけど、結局ミュートマスに。昨年もサマソニで見たんですが、その時とほとんど印象は同じです。新譜を聴いたあとなんでノリやすいというくらい。 「The Nerve」 「Backfire」 で始まり、ソウルフルな歌唱を聴かせるヴォーカルと、身体全体使ってファンキーで細かなリズムを力強く打ち出すドラムが印象的。でも正直なところ、演奏自体は CD の再現だなーという感じ。 CD テイクを再現出来るというのはそれだけ実力が高いということだろうし、大舞台に似合うスケール感がますます出ていたようにも思いますが、やはり予測の範囲内で食い足りないかなという気持ちの方が強かったです。途中退出。


JAGA JAZZIST @ WHITE STAGE
ノルウェーの大所帯バンド。個人的に今回の注目株でした。この日は9人編成でメンバー各々が様々な管弦打楽器にシフトするフレキシブルスタイル。新作 「ONE-ARMED BANDIT」 で (何故か) テーマにしてたスロットの絵柄が立札になってステージに置かれてる。やはり新作からの楽曲がほとんどでしたね。名前に反してジャズでは全然なく、ポストロックでもなく、むしろプログレ。様々な音色が交錯して複雑に入り組んだサウンドスケープを構築していくわけですが、こちらも正直言って良くも悪くも音源通り。あまりライブならではの面白味というのが掴めなかったです。またこの時点で体力的に疲れてきた&雨が強くなってきたというコンディションの悪さもあり、ごめんけど途中退出。


THE XX @ RED MARQUEE
デビュー作が各メディアで絶賛されてたイギリスの3人組。雨のせいもあってか場内は人でパンパンの状態。歓声や盛り上がりも非常に大きかったけど、当のメンバーは一切表情を変えず、ペースも崩さず、淡々と演奏に集中。ステージと客の温度差がこれだけ激しいライブも珍しいな (逆は多いだろうけど) 。そのライブですが、予想以上に濃いものでした。音源と同様に、音に厚みを持たせることを頑なに拒否したかのような、極々シンプルに研ぎ澄まされた音。男女のヴォーカルも実にクールに冷めきっていて、それが逆にセンチメンタリズムや諦観のような感情を聴き手に鋭く突き差す。そして中央にはビートマニアよろしくパッド系シンセを駆使し、打ち込みのリズムを手動で鳴らすマニピュレーター。白黒を基調とした衣装、照明含め、何ともスタイリッシュに洗練されたステージングで、音はもちろん視覚的な面での拘りも強く感じられました。時にはストロボ全開の中シンバルを一心に叩く様がサバトの様相を呈したり、その低熱な空気の生み出す刺激が神経を麻痺させる。これもまた見っけモンでしたね。でもムードに酔ってかその辺でベロチューしてるカップルがあまりに多くて 「隕石でも落ちればいいのに」 とか思ったのは秘密。


MUSE @ GREEN STAGE
相変わらず雨が上がらないまま雨水塗れの晩飯を食いつつ、疲れと眠気に耐えること約1時間。ようやっと来ましたよミューズ様。雨&地面田んぼ化という状況の悪さにも拘わらず、グリーンは後ろまでビッシリ。個人的に今まで見る機会は何度かあったものの悉くスルーし続け、実際にライブ見るのは今回が初でした。


つっても動画や DVD ではどんなライブか何べんも見てたのである程度予測はしてましたが、本当面白いなーこの人たち。マシュー王子は真っ赤なラメスーツに青い電飾内臓メガネ。ドラムのドミニクはモジモジ君みたいなグレーの全身タイツにヘルメットという罰ゲームとしか思えない出で立ち。後方のスクリーン映像とド派手なレーザー光線、タッチパネル内臓ギター等々、とにかく全ての演出に金かかってる。スタジアム級の王道バンドとして過剰に過剰を重ねた結果、常人の思考から斜め上を行くその美意識。この辺は Lady Gaga とかと同系統だと思う。元々楽曲も壮大でオペラチックな外連味が作品を重ねるごとに増してきてるし、とことん己の道を追求してオリジナルな変異を遂げた、という大きな例ですね。


そして内容も盤石の構え。オーディエンスを高らかに鼓舞する 「Uprising」 でスタートし、 「New Born」 やら 「Hysteria」 やら 「Starlight」 やらと代表曲のオンパレード。初心者に優しいフェス向けセットリストで、こんなん盛り上がらんわけがなかろうに。各メンバーの見せ場を作って技巧派っぷりをアピールし、ジャムセッション的展開も挟んでロック的ダイナミズムを存分に発揮。本編ラストは一番聴きたかった 「Stockholm Syndrome」 で豪快に締め、アンコールでも 「Plug In Baby」 に 「Knights of Cydonia」 だよ。最後まで一切攻めの手を抜かない。どっからどう見てもミューズでしかない、ヒロイックな存在感をこれでもかと誇示する高性能ロックオペラ・エンターテインメントでした。もう満腹。


女王蜂 @ ROOKIE A GO-GO
もうちょっと続くぜ!帰り道に立ち寄ったゲート外の一般公募ステージ。俺このステージ来るのこれが初なんですけど、お客さん少ないね…まーこの時間 (午後11時) はみんな大トリ見たり飲食したりしてるよな…。そんでこの神戸出身の4人組。実は以前たまたまライブを見たことがあるんですけども、そのドラァグクイーン的な毒々しさたっぷりの出で立ち、特にヴォーカルの素っ頓狂な裏声とドスの効いた地声を使い分けてヒステリックに暴れる様がインパクト強すぎて、フジロック決まったと知った時は 「マジかwww」 と。そしてこのルーキーでもその時のインパクトは不変でした。グランジーな爆音と昭和歌謡風のヨレた味がミックスされ、荒々しいグルーヴで迫る。毛皮のマリーズ犬神サーカス団足して新宿2丁目のフィルター通したようなヤバめの格好良さ。予想通りかなりの逆境だったけど (苦笑) 、彼ららしい個性は十分に出てたので、それが確認できただけでも良かったです。


以上。すでに足が限界だけど、2日目に続きます。