James Blackshaw 「All is Falling」

All Is Falling

All Is Falling

ロンドン出身のソロアーティストによる約1年ぶり、通算9作目。


まず耳を惹くのはこれまでの12弦アコースティックギターではなく、硬くシンプルな鳴りのエレキギター。プレイ自体は以前と同じように、ストイックで物悲しいアルペジオの音色をミニマルに爪弾き続けるというスタイルですが、ギアを変えるだけでこうも表情が変わるものかと目から鱗の心地。霞みがかった幻想性のようなものはアコギの方が上かもしれませんが、エレキだと音の輪郭が際立って地に足のついた、良い意味での親しみやすさが生まれてるような気がしますね。そして楽曲の構成もドローン要素の強かった前作から、ピアノやストリングス、またアコギとエレキの違った質感を織り重ね、ドラマチックな抑揚がついて取っつきやすい作風にシフトしてる印象。ジャケットにあるのは太陽でしょうか。 「全ては堕ちる」 。しかし堕ちたあともまた昇る。ダークネスの淵に沈むばかりではない、徐々に浮かび上がるような力強さも確かに在り、光と影がグラデーションのように交差する。静謐、荘厳、神秘的なサウンドスケープ。 「Part 1」 から 「Part 8」 までの無機質なタイトルが名付けられた楽曲群ですが、イマジネーションの深みはなお増す一方です。


Rating: 8.4/10
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