Base Ball Bear 「CYPRESS GIRLS」 「DETECTIVE BOYS」

CYPRESS GIRLS <完全生産限定盤>

CYPRESS GIRLS <完全生産限定盤>

前作から1年ぶり、2枚同時リリースとなる 「3.5作目」 の1枚。


バンド自身にとっては特殊な位置づけとなる作品なのでしょうか。内容はポップスメイカーとして作品毎に増強してきたメジャー感を十分に消化し、ロックバンドとしても音楽性の幅を順当に押し広げた快作となっています。オープナー 「十字架 You and I」 は腰にクるファンク・グルーヴを打ち出した新境地で、ヴォーカルもセクシャルなネチっこさを意識してたり。また 「beautiful wall (DUB)」 では曲名通りダブを取り入れ、コンクリ打ちっ放しの部屋で跳ね返り混ざり合うような音響性がドープな憂鬱を演出。そして 「kimino-me」 では山口一郎 (サカナクション) が参加し、哀愁フォークがテクノポップへと強引に雪崩れ込む実験曲。そういったいずれの冒険も、あくまで彼ら本来のポップネスを基調とした上での導入なので違和感はなく、新鮮な刺激として響く。その一方でフリーキーなギターソロがバンドの肉体性を強くアピールする 「BAND GIRL'S SPIRAL DAYS」 、モロに初期ナンバガな微笑ましい青春ギターロック 「檸檬タージュ」 と従来の路線も同居。コンパクトな内容ながら聴き所は非常に多いです。


Rating: 8.2/10



DETECTIVE BOYS <完全生産限定盤>

DETECTIVE BOYS <完全生産限定盤>

そしてこちらが上と同時発売のもう1枚。


「CYPRESS GIRLS」 を先に聴いて、その時点でも結構冒険してるなと思ったのですが、こっちはさらに一歩外の領域へと踏み込んだチャレンジングな内容。オープナー 「クチビル・ディテクティヴ」 は福岡晃子チャットモンチー) と呂布 (元ズットズレテルズ) が参加し、スウィートに洗練されたヒップホップ/ R&B のトラックと3人のヴォーカルリレーが繰り広げられる、ロックバンドの枠さえも取り外した超異色曲。これには少なからずビビらされた。その後も目一杯の甘酸っぱさが弾けるシティポップ/ディスコナンバー 「Transfer Girl」 、カーステの音質が荒々しいグランジへと変貌する 「BOYFRIEN℃」 、レゲエの 「LOVESICK」 にフォークの 「WHITE ROOM」 、激キャッチーな疾走ギターポップ 「星がほしい」 、 iLL 参加のエレクトロヒップポップ 「歌ってるんだBaby」 、最後に牧歌的で素直な表情を見せる 「東京」 と、曲が変わるたびにジャンルも変わる雑多っぷりがひどく魅力的。特に前述の 「クチビル・ディテクティヴ」 とか、方向性的にはどう見てもセルアウトなのに彼らが演ると自然な成長に写るから面白い。そこまでやるかという驚きが詰め込まれた充実の内容です。


Rating: 8.4/10


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