Caroline 「Verdugo Hills」

VERDUGO HILLS

VERDUGO HILLS

沖縄出身のシンガーソングライターによる、5年ぶり2作目。


実姉の Olivia とは音楽的な接点はあまりないし、沖縄イズムはもっとない。 Mice ParadeSaxon Shore の作品にヴォーカルで参加しているとのことで、むしろそういったポストロック方面との親和性が強い、ミステリアスな透明感/浮遊感を主幹とするエレクトロニカ・ポップです。シャープに研ぎ澄まされたシンセ、ビート、またはあらゆる物音のサンプルの破片を空間的に散りばめ、アンビエントな感覚を膨らませるトラック。その中でキャロライン本人は今にも消えてしまいそうなほどに儚く、緩やかに漂うような歌声を聴かせる。タイトル通り深い夢の淵へと誘う 「Sleep」 、雲間から微かに光が差すような 「Words Flutter」 、ホーンの高らかな響きが少し異色な 「Snow」 など。メロディにはノスタルジーと寂寥が入り混じりつつ、ほとんど体温を感じさせない白銀のサウンドスケープBjörk 直系と言うとまた微妙に語弊がありそうな気がしますが、 PianaEmilie Simon が好きな人にはそのままジャストでしょう。正直言って目新しさは薄いですが、その幻想性に貫かれたサウンドには陶酔できる深さが確かにあります。


Rating: 6.8/10
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