Asobi Seksu 「Fluorescence」

フローレサンス

フローレサンス

ニューヨーク出身の男女デュオによる、約2年ぶり4作目。


百華の宴。低音の凄味よりも透明感、浮遊感を重視した音作りは前作の延長線上にあるものだと思いますが、今までとの相違点はシンセの大幅な増加ですね。時にブリーピーな歪みで存在をアピールし、時に幻想性を増幅させるクリーンな音色で空間的に拡散する。それがシューゲイザー由来のノイジーなギターと密接に混ざり合い、美しくもドープな世界観を作り上げています。ヴォーカルも繊細なウィスパーヴォイスから朗々とした高らかな歌声まで披露し、色彩は万華鏡のようにカラフル。しかしこのバンドの場合、どれだけポップでどれだけクリーンなことをやっていても、バンド名のアレさ故にある種の毒気を音の裏側に嗅ぎ取ってしまうのですよね。甘い香りで夢の淵へと手招き、いつの間にかドラッギーな魅力に憑りつかれて離れられなくなってしまうような。力強く空へ舞いあがるような極上ノイズポップ 「Trails」 、何処となく無邪気でノスタルジックな 「In My Head」 、ダブステップかと驚かされる 「Counterglow」 など。このバンドらしい酩酊感、中毒性は損なわれることなく発揮されていると思います。


Rating: 8.0/10
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