Bon Iver 「Bon Iver」

Bon Iver

Bon Iver

米国はウィスコンシン出身、 Justin Vernon を中心とする4人組の、3年4ヶ月ぶり2作目。


US インディロックシーンの中で、たまにこういう音に出逢うことがあります。今作を聴いて俺は Fleet Foxes を想起したのですが、 Fleet Foxes と彼らの関係は Broken Social Scene と Arcade Fire の関係に似たところがある気がします。抽象的な表現ですが、前者は世界を 「創る」 バンドであり、後者は世界を 「目指す」 バンド。フォークを基調とした暖かさと渋味のある音楽性を基盤としつつ、ファルセットを多用したハーモニーの厚み、オーケストラルな管弦楽器の効果的な導入がアンサンブルに深い聴き応えを与える。そんな彼らの音からはここではない何処かに思いを馳せ、動き出そうとするポジティブな力強さ、凛々しさが感じられます。 「Perth」 で打ち鳴らされるマーチングドラムの勇壮さ、 「Towers」 のトラッド的で軽やかな哀愁、 「Calgary」 ではミステリアスなシンセの響きすら歌声とともに流れの中へ同化。緊張の糸が張った静謐があり、ノスタルジックで柔らかな郷愁があり、多彩な趣向を凝らしても足場は揺るがないアティテュードの強靭さがある。セカンドにしてすでに威厳すら感じさせる、確固たる意志を感じさせる傑作です。


Rating: 8.6/10
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