SUMMER SONIC 2011 OSAKA 1日目


2年ぶりのサマソニは寂しくなっていた。




うん、灼熱地獄!


今年はライジングサンと日程が被っててどちらを取るか頭を悩ませたのですが、メンツの魅力に惹かれてサマソニ大阪を選択。しかし今年はクリエイティブマンの 「東京と大阪の差が増える」 という宣言通りステージが3つまで縮小。何もない広場が増えて屋台やドリンク売り場も減少。ただでさえ鬼のような暑さなのに店は何処も激混み、水買って戻ってくるだけで20〜30分とかザラ。一方で脈絡のないアーティスト追加しては詰め込みで全く余裕のない進行。いやマジ何なのコレ?メンツに金かける一方で環境整備はさらに手を抜くこれがサマソニクオリティなんか。今までの経験からしても元々期待はしてなかったけど、それにしても飲み食いする気力なくすくらい今年の環境は酷かった。10年以上やってて何この体たらく。



まっしぐらにソニックステージに逃げ込む。一旦入ったらもう出たくなくなる。スタンドでボケーッと佇んでたら始まったよ。


androp @ SONIC STAGE
いつの間に人気が出てたのか結構人多かったけど、バンプとラッドとサカナ足して割ったみたいな感じで特に面白味ないよな…。


SMITH WESTERNS @ SONIC STAGE
シカゴ出身だけど UK っぽい、正統派ギターロックという以上に特になし。コレといった掴みないなー。ある意味苦手な分野なのかも。


THE MORNING BENDERS @ SONIC STAGE
シンプルなトリオ編成で涼やかなメロディ/ハーモニーを立たせた作りで、地味ながら割と良かったと思う。途中激しく睡魔に襲われたが…。


DEERHUNTER @ SONIC STAGE
こっからアリーナに降りてやる気出す。昨年の新譜も上々の出来だった鹿ハンター。セッティング時から客に声かけたり手を振ったりと、場数を踏んできたからか余裕のあるムード。そのまま引っ込まずに本編へ。


内容は新譜曲を中心としつつ新旧織り交ぜたセットリスト。しかしどの曲も毒々しくも美しいノイズ/サイケデリアを思う存分放出し、昏睡の感覚へと客を引きずり込む。基本的に皆淡々とした演奏だけど、 Bradford Cox は時折声を荒げたり無心にギターをかき鳴らしたりと、幾分か熱が入ってるように見受けられる。彼らは意外に今回のようなデカい会場でも音が怯まないですね。特に 「Nothing Ever Happened」 はさすがに圧巻でした。心地良い速度に乗って混濁するギターサウンドの洪水、果てしなく続くようなミニマリズムから生まれる恍惚感、そして諦観と悪意の入り混じる歌詞。また 「Memory Boy」 のハッとするような躍動、ラスト 「Helicopter」 の死に繋がる夢みたく甘美なウォールサウンドも素敵でした。やはり彼らの出す音は単純な浮遊感や幻想性だけではなく、心地良さの裏側にシニカルなダークネスを潜ませてるのが刺激的に響いてくるのだな。短い中でも彼らの音世界を余すことなく表現していたと思います。満足。



グッズ見ようとしてもアホほどの行列でメゲる。終演時にはすべて完売。


THE POP GROUP @ SONIC STAGE
今年の目玉のひとつ。わずか2枚のアルバムを残して解散し、伝説となった UK ニューウェーブの鬼っ子。奇跡の復活&来日であります。


当たり前だけどメンバー皆もう初老。 Mark Stewart はかなりガタイ良かったけども、シャツにジーパンというラフすぎる衣装でその辺のオッサンのようだ。大丈夫かいな…と一瞬心配したものの、メンバーが登場するやいなやキーボードが不協和音をガーンと一発、そしていきなりの 「We Are All Prostitutes」 !さらに 「Thief of Fire」 「She Is Beyond Good And Evil」 「Forces of Oppression」 など往年のキラーチューン連発。堅実にファンク/エスノの躍動感を叩き出すリズム隊、その上でダブ処理を施されフリーキーに暴れ回るギター/サックス、そして Mark の甲高い絶叫。年相応に落ち着いたんだろうなという部分がありつつ (笑) 、キレる所ではしっかりキレる、ポップグループらしい異形のポストパンク/ファンクサウンドは今聴いても刺激的。前衛ジャズのような側面もあるし、 Mark のシャウトはソウルや R&B の発するパワフルな気が明後日の方向に捻じ曲がってしまったようでもあるな。確か MC でまた来るって言ったはずなんで、公約は果たしてね。


P.i.L. (PUBLIC IMAGE LIMITED) @ MOUNTAIN STAGE
日が沈みかけてからようやく外に出る。我らが X JAPAN と時間帯被ってて相当悩んだのだけど、そういう時はいつもプレミア感の高さを優先させるのでね!こちらは17年ぶりの再始動となるポストパンクの元締。ドラマーは The Pop Group と掛け持ちなのかしらね。


こちらも皆いい年になって、 John Lydon は随分と恰幅良く…。最近はコメディアン的な仕事もされてるようで、えらい剽軽というか愛想の良い一面も見せたり。しかし曲が始まれば朗々とした声で呪術的な歌を聴かせ、オルタナティブな個性を発揮。俺は 「Second Edition」 と 「The Flowers of Romance」 しかまともに聴いてなかったのですが、おそらく各時期からバランス良く選曲されてたのかな。しかしどの曲も、不穏に迫るダークネスと直線的ダンスビート、ミニマルな長尺構成でアヴァンギャルドな毒をビシビシ突き刺してくるというのは共通。ギターに加えマンドリンバンジョーのような楽器などを駆使して様々な音色を響かせ、最大限にブーストされたベースが空気を震わせる。延々続く終わりのない悪夢のような、シュールな中にも何処か悲痛さを漂わせる P.i.L. 流の悪意。下手すれば前の The Pop Group 以上に敷居の高い音楽性ではありますが、他には確実にないオリジナリティであるのも確か。こんな音楽がヒットチャートに蔓延ってたんだから80年代って本当わけわからん時代だよな。とりあえず一度でも生で拝めて良かった。


PRIMAL SCREAM present SCREAMADELICA LIVE @ MOUNTAIN STAGE
本日のトリ。タイトル通り 「Screamadelica」 曲限定というコンセプトで珍しくサマソニにやってきたプライマル。


しかし俺、プライマルで一番好きなのは 「XTRMNTR」 で、デリカに関してはそこまで強い思い入れはないんだよな…などと思っていたのですが、1曲目 「Movin' On Up」 で一気に広がる享楽的なハピネスにガッと掴まれました。黒人ビッグママのゴスペルコーラスを従えたアンサンブルで、オーセンティックなロックンロールとアシッドハウスを融合させ、ドラッギーな快楽を手に入れるのが最大のテーマ。徐々に熱を帯びて空高く舞い上がるような高揚感と、何処か牧歌的で人懐っこいムード、そして 「闇を抜け出し、光を目指す」 という圧倒的にポジティブなパワー。 「Damaged」 のフォーキーな哀愁から、 「John Lydon に捧げる」 と前置きして放たれた 「Higher Than The Sun」 のサイケデリアは会場全体を飲み込むようだったし、音源よりも一層タフさを増して響いた 「Loaded」 、本編大ラスの 「Come Together」 に至るまでそのオーラはまるで途切れず。マッドチェスターというムーブメントは今や思い出迷子のための刹那的な青春だと捉えられるかもしれませんが、このアルバム自体のアティテュードは実は普遍的なものであり、今の時代でも十分有効なのだなと。


そして 「Come Together」 から間髪入れずに突入した 「Country Girl」 !あれーこの曲こんなに格好良かったっけ?リリース当時はまるで良い印象無かったのだけど (笑) 。さらに 「Jailbird」 「Rocks」 とデリカの縛りを解いてロックンロールサイドの鉄板ナンバー連発。サービスに次ぐサービスで会場大盛り上がり。今回は企画ライブだからね、懐古的とかなんとか気にせず楽しんだもの勝ち。細身のスーツで投げキスを送る Bobby Gillespie は男の俺から見てもセクシーで格好良かったよ。


以上で初日終了ー。なんかフジロックよりも疲れた気がするのは何故だ?明日に続く。