sgt. 「BIRTHDAY」

BIRTHDAY

BIRTHDAY

フルレンスとしては約3年ぶりとなる2作目。


主幹となる音楽性はそのままですが、マイナーチェンジは随所にあり。 「アラベスク」 では土臭いホーン隊を従え、異国の猥雑な酒場から 「21st Century Schizoid Man」 まで行き来するようなダイナミズムを見せたり、 「Zweiter Weltkrieg」 では強靭なリズム隊が異様な緊張感と唸り上がるようなグルーヴを生み出し、武骨なラップヴォーカルを迎え一層アグレッションを増して迫る。ヴァイオリンやピアノの音色は従来の流麗な美しさを奏でていますが、多彩なゲスト陣の導入によるレンジの拡張があり、また時にはブルータルとも言えるほどのリズムの荒々しさが前面に出て、それらがスパイスとなり以前とは別の表情、音世界を構築しています。それ以外にも短尺の実験的なインタールードを挟んだりと、傑作 「Stylus Fantasticus」 を自ら越えようとする工夫、試行錯誤の跡は多数。個人的にはもっと大元の枠組みから大胆に変えてしまっても良かったかな、という気もしますが、このジャムセッション的な熱量とスケールの大きな幻想性が拮抗するアンサンブルの迫力はやはり彼らならでは。


Rating: 7.8/10
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