Factory Floor 「Factory Floor」

Factory Floor

Factory Floor

ロンドン出身の3人組による初フルレンス。


工業音楽。昨今から隆盛を誇る次世代ダブステップや EDM へのカウンターとして Daft Punk はノスタルジックで夢見がちのファンク・ディスコテックを展開しましたが、彼らもまた別の形でカウンターを仕掛けようとしてるのかもしれません。直線的で端正なビートはバウンシーなふくよかさを排し、ひたすら身体に鉄槌の如く打ちつける冷徹さが際立ちます。ビートだけではなく、鳴らされるすべての音が異様にソリッドで威圧的。音自体、あるいは音の隙間から生まれるセンチメンタリズムなど意味性の一切をかなぐり捨てており、ただ無味乾燥な音が鳴っていて、それが重なっていて、たまたまダンスミュージックが構成されている、とでもいうような塩梅。多分ベースラインが全くと言っていいほど存在していないのがキモなのだと思います。まるっきり無表情なそのサウンドは現代なりのインダストリアルとでも言うべきような内容。意図の読めないインタールードを挟みつつミニマルな音の飛礫が規則的に飛び交う10曲。鉄を噛んでいるような甘さゼロのテクノサウンドはひどく挑戦的で、そこにフィジカルな熱を燃やすことがでいるかはあなた次第です。

Rating: 7.0/10