スピッツ 「小さな生き物」

小さな生き物

オリジナルフルレンスとしては約3年ぶりとなる14作目。

自分はスピッツに関してはガチのファンの方々に比べると申し訳ない程度のにわか者ですが、それでも彼らがどれだけお茶の間レベルでブレイクしても 「ロックバンド」 としての自らのポリシーを一切曲げなかった硬派なバンドであることは理解しているつもりです。試しにこの新作を聴いた後に 「名前をつけてやる」 あたりを聴き返すと、そのスタンスが全くもってブレていないことが手に取るように分かります。しかもそのブレの無さが単調なマンネリには陥らず、現在進行形と言えるフレッシュさを持って響いてくるのだから恐れ入る。 「さらさら」 「僕はきっと旅に出る」 といったシングル曲がスピッツの王道を担う一方で、ザックリ切り込む痛快パワーポップ 「りありてぃ」 、タイトルそのままにホイッスルとフィドル従えて突っ走る 「野生のポルカ」 、小休止かと思いきやシンプルかつ芳醇なアンサンブルの旨味に気付かされる 「scat」 、何故かシンセポップに振り切れた 「エンドロールには早すぎる」 と、多彩なアイディアが朝露のような 「歌」 というひとつの糸できっちり結ばれたトータリティはさすが。でも一番好きなのは彼らの毒っぽさが発露した 「潮騒ちゃん」 か。

Rating: 8.1/10