MINAMI WHEEL 2013 2日目


昨日に続いてミナミホイール2日目。本日も麗らかな秋の陽気でありました。


sleepy.ab @ BIG CAT
そんな午睡を誘うような時間帯に一層眠気を誘うこのアクトからスタート…しかし1曲目は彼らにしてはアッパーなリズムのある 「ユーフォリア」 で意外な幕開け。その後も繊細なギターサウンドと柔らかな歌声で心地の良いアンビエント空間を作り上げていきますが、底辺の部分で大らかなグルーヴだけは維持しており、ゆらりゆらりと波に漂うようなうねりが穏やかさを退屈に感じさせず、心地良さを増してくれる。彼らは前回見たのが AKASO でのライブで、その時は完全着席状態のため本当に寝落ちしそうになってたのですが、今回は通常のライブ向けにリズムを意識してる部分もあったのかしら。しかしまーアルコール飲みながら見てたら気持ちの良いことこの上ない。職人的と言えるくらい緻密、精巧なアンサンブルで安心して見れるし、安心しながら見るのが正しいロックバンドですね。


完全にノンフィクション @ SUN HALL
バンド名だけでちょっと面白そうかなと思って入ったんですけど、いやあ…最近流行りの若手っぽい感じですねとしか…。


打首獄門同好会 @ KING COBRA
2004年結成の男女3人組。アクの強いバンド名に負けず、音の方もなかなか面白かった。 HR/HM を基盤とする泥臭いヘヴィサウンド、なのにメンバーは初っ端で大量のうまい棒を客に配り、 「せせり!せせり!」 「つくね!つくね!」 と焼き鳥でコールアンドレスポンスしたり、おもむろに笠と白衣着て霊場八十八ヶ所を順番に叫んでみたり。この本気のヘヴィネスと歌詞のユルさの取り合わせはマキシマム ザ ホルモンに通じる所も。リズム隊の女性含めた全員がヴォーカルを執れるというのもあり、一見さんでも自然と取り込む奇妙なキャッチーさが発揮されていました。今年のミナホ初のモッシュ・ダイブ発生でわやくちゃの大騒ぎ。終盤では爆音やらモッシュやらでほとんど何が鳴ってるか分からない状態だったけど、とりあえず勢いで最後まで突っ切れたので良し!あと彼ら水曜どうでしょう好きで、曲の中にもそれに関するネタが散りばめられてるんですよね。その辺も含めて愛すべきバンドだ。


Lillies and Remains @ KING COBRA
個人的に見るのは2年ぶりとなるリリーズ。まさかミナホに出るとは思わなかった。彼らのようなゴシック/ポジティブパンクを志向するバンドはこのイベントではアウェイかと思ってましたが (昨日の THE TEENAGE KISSERS も客入りはちと厳しかった) 、蓋を開けてみれば8割程度埋まっていて一安心。1曲目 「The Fake」 の突き刺さるようなリフ一発で空気が変わるのを体感しました。前回よりもアンサンブルがよりタイトに引き締まった印象があり、ひたすらスクエアに刻まれるビートの上で、ストイックに研ぎ澄まされたポストパンク風のギターサウンドがスリリングに迫る。 「Moralist S.S.」 ではそういった彼らなりのアグレッションを強く打ち出し、かと思えば 「Wreckage」 「I Survive」 などではネオアコ/ネオサイケから影響を受けたクリーントーンの透明感がそっと色味を添える。この絶妙なメロウ感もこのバンドのキモなんですよね。緊張感を保ったままのサウンドから滲み出る切なさはあまりにもロマンチック。彼らの持つ特異な魅力が存分に発揮されていたと思います。大満足。


中島卓偉 @ Pangea
ライブを見るのは初めてな卓偉さん。実は去年のミナホに出るはずだったけど、喉を壊して急遽キャンセルとなってしまい、本日はそのリベンジとなるわけです。今回は卓偉たったひとりで臨むアコギ弾き語り編成。激しくストロークされるアコギの格好良さもさることながら、とにかく本人の声が説得力抜群。オペラ歌手かと思うほどによく通る豊かな声量で、エモーショナルで力強い歌を聴かせる。歌われる内容もとにかく直球。 「ひとりになることが怖かった」 では身も蓋もないほどに自分の内面を曝け出し、 「Calling You」 では愛情と悲しみをあくまでもポジティブに綴り、 「3号線」 ではノスタルジックな情景を飾らずに描写する。ロックンロールが本来どういうものか、ロックシンガーが本来どう在るべきか、それを追求し続けるひとりの男の生き様をこれでもかと見せつけられてるようで、そりゃ男も女も惚れるしかないでしょうよ。弾き語りではあるものの、彼の持つロックイズムを十分堪能できました。


ユナイテッドモンモンサン @ soma
ここ数年ミナホに通ってるけどこのライブハウスに来るのは初めてでした。キャパ200〜300の小奇麗なハコ。このバンドは前身のエニクスパルプンテ時代から愛着を持っていて、何度かライブを見ているのですが今回も安定した内容。 SE が変わっていたりと多少の試行錯誤はありますが、基本はいつものようにキュートでパワフルなガールズ・パワーポップ。例えるなら大阪の weezer みたいな感じで、良い意味で垢抜けない親しみやすさがあるのですね。メンバー全員が持ち前のエンターテイナー精神で一発カマしてやるという気概が感じられるのが良い。定番曲 「君だけのキス」 「少女漫画シンドローム」 などに加え、今回は新曲も披露。ミドルテンポの少しばかり落ち着いた曲で、やはり単純にメロディが良いのだ。こちらも切っ掛けさえ掴めばいつでもブレイクしそうなんだけどなー。


GOLIATH @ soma
2011年結成の7人組。ツインギターにツインベース、ドラムにパーカッションまでありの大所帯。さすがにこれだけ揃うと音の強度も半端ないことに。初っ端からアッパーなトライバルビートで観客を強くアジテート。そのままお祭り騒ぎで突っ切るかと思えば、ヴォーカルは意外に端正な歌い上げ系。次の曲では The Strokes のようなロックンロールになったり、若干ニューウェーブ風の J-POP になったりと、展開が読めないのだけど勢いだけは持続してる。ううーむ、どうも音楽的な方向性が定まり切ってなくて、大所帯の編成も十分には活かせてない気がする。どの曲も一定以上のクオリティは保ってるけど、結局何を本筋としてるバンドなのかが見えてきませんでした。


足やら首やら耳やらをやられたまんま、這う這うの体で帰宅。明日も続きます。