ドレスコーズ 「バンド・デシネ」

11ヶ月ぶりとなる2作目。


前作は生々しくシンプル、しかしながらオールディーズからグラム、パンク、オルタナに至るまでの道程が凝縮されてるような芳醇な味があり、ある意味正しくロックバンドのファーストという感じでした。今回はそこからさらに一歩踏み出し、メロディを明確に意識したポップな楽曲が揃っています。志磨遼平のアテュテュードを高らかに表明する 「ゴッホ」 に始まり、 「トートロジー」 「シネマ・シネマ・シネマ」 の刹那的な荒々しさ、 「ハーベスト」 「Silly song, Million lights」 の牧歌的な暖かさ、 「Zombie」 「(She gets) the coat.」 の冬枯れた哀愁、といった具合に以前よりもカラフルで粒の揃った楽曲群。バンドとして前進した姿を見せていますが、志磨遼平に限って言えば毛皮のマリーズ時代にもこういったポップネスを意識した部分は少なからずあったはず。例えば 「Mary Lou」 や 「ビューティフル」 にも表れていた、ロックンロールバンドとしてのロマンを貫いたポップネス。それは原点回帰というよりも、前作ではデビュー盤ということで多少肩肘張っていた部分がほぐれて、本領を発揮してきたという印象を受けます。実に彼ららしいと言える一枚。

Rating: 7.7/10