THE NOVEMBERS 「zeitgeist」


2年3ヶ月ぶりとなるフルレンス4作目。


先にリリースされていたミニ作 「GIFT」 での優しさと包容力と、 「Fourth wall」 での陰鬱とした彼ら流の攻撃性。これらの相反する要素が今回の1枚に凝縮されている…とも言えますが、実際はさらに複雑な化学反応を起こしています。幻想的なクリーントーンは美しさの裏側に不安定な脆さを孕み、ギチギチに歪んだディストーションは轟々と渦を巻いてカオスを成形。特にアグレッションが強く現れた 「Louder Than War (2019)」 「Wire (Fahrenheit 154)」 などは狂気そのものと言える壮絶なダークネスが牙を剥く。後半の 「Ceremony」 「Flower of life」 にしても、柔らかな心地良さが彼岸の先を見るような薄ら寒さを感じさせます。表題は 「時代精神」 の意を指すとのことですが、最近の世間一般の風潮と言うよりも現在を生きる自分自身、個の持つ思想/哲学を突き詰めて反映させた結果、とでも言えるでしょうか。一切の妥協なくとことん聴き手に内省を迫る、ある意味ひどく辛辣な内容。その精神的なヘヴィネスは聴く人/状況を激しく選びますが、彼らの主義が貫徹された説得力のある作品です。その純度はあまりにも高い。

Rating: 7.7/10