Lillies and Remains 「ROMANTICISM」

Romanticism

Romanticism

京都出身の2人組による、3年7ヶ月ぶり3作目。


今回は藤井麻輝プロデュースということでどれだけアグレッシブな仕上がりになっているのかと期待していたのですが、実際の音像はむしろ逆の、彼らのメロディセンスが重視された優しい感触になっていました。分かりやすい派手さはないものの、クールに洗練された中にも仄かな哀愁を感じさせるメロディ。彼らにとって一番の武器のひとつと言えるそのメロディを自然と前に押し出すように、ネオサイケデリア由来のたおやかなクリーントーンが鮮やかに空間を彩り、低熱に迫る中にもきっちりとフックを仕掛ける、その作曲スキルはさすがの手腕といったところ。リードトラック 「Body」 や先行シングル 「This City」 なんかは従来のエッジィな刺々しさが表れていますが、 「Like The Way We Are」 や 「Recover」 などはえらく牧歌的、可愛らしいと言ってもいいレベルの丸みを帯びたポップさ。それは単に日和ったわけではなく、以前から彼らに備わっていた側面のひとつにフォーカスを当てた、ということですね。国産インディシーンきっての耽美派にしてビートロック至上主義、そしてこれが彼らのロマンティシズム。

Rating: 8.1/10



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