大森靖子 「洗脳」

洗脳

洗脳

メジャーデビュー作となる、1年ぶりフルレンス3作目。



さすがメジャー、売れる気満々です。かつての弾き語りスタイルはほとんど影を潜め、ラウドなバンドサウンドや打ち込みを大々的に導入。毒々しいまでにカラフルに仕立てられたガールズ (アイドル) ポップの応酬です。パンキッシュな 「絶対絶望絶好調」 に始まり、ブロステップの音圧とメロディの可憐さが大胆に交差する 「イミテーションガール」 、ドリーミーかつコケティッシュな空気の濃密さが聴き手を飲み込む 「ナナちゃんの再生講座」 など、ガーリーな感性ならではの攻撃性を様々な形で畳み掛ける13曲。言葉数を早口で詰め込んだヴォーカルも相まって、その楽曲群の目まぐるしさは強烈なインパクトがあるのですけど、かつての彼女の楽曲に合った言葉一つ一つの研ぎ澄まされた鋭さは引っ込んでおり、まるで炭酸ガムのような瞬間的な刺激と聴き終えた後の味気なさ。彼女なりの大衆性をアピールするというのが今作の狙いなのだとは思いますが、このゴテゴテに武装したサイボーグ状態というのは 「痛さ」 ではなく 「イタさ」 ばかりがクローズアップされてると言いますか。それではこちらは傷つくのではなく引くばかりで、聴いてて正直つらいものが。

Rating: 5.7/10



大森靖子「絶対絶望絶好調」MusicClip - YouTube