FictionJunction 「elemental」

elemental

elemental

梶浦由紀を中心とするユニットの、約5年ぶり2作目。


重厚なコーラス/ハーモニーにとことん拘ったシンフォニックなヴォーカルアレンジ、 ZABADAK に通じるプログレ/ニューエイジの感覚を匂わせつつ90年代の正義感を貫く強度バリバリの J-POP 。そんな彼女の作風は Kalafina でもこのユニットでも大きくは変わっていません。ただ Kalafina がアニメ劇伴から発展した幻想的なイメージがキモにあるのに対し、こちらはノンコンセプトゆえの自由さ、いくらか肩の力の抜けた感覚があるように思います。ここに在るのはこれぞ梶浦印といった彼女流のスタンダードナンバーばかり。自らの個性を余すことなく打ち出し、枠に囚われず純粋に楽曲の良さを目指した感じですね。逆に言えば Kalafina はどんな曲調であっても自らのコンセプトの枠内に取り込んでしまう強靭さ、ある種のスリルが面白かったのですけども。何処となくエキゾチックな雰囲気を湛えた表題曲 「elemental」 に始まり、清涼感の中に勇壮な力強さを感じる 「storytelling」 「時の向こう 幻の空」 、高速サイケデリックトランスで突っ走る 「stone cold」 、ヘヴィなバンド演奏がフィーチャーされた 「凱歌」 など13曲。ファンは納得の内容でしょう。

Rating: 7.7/10