Suzanne Vega 「Tales from the Realm of the Queen of Pentacles」

Tales from the Realm of the Queen of Pen

Tales from the Realm of the Queen of Pen

カリフォルニア出身のシンガーソングライターによる、約7年ぶり8作目。


この人の声は長い時間を経ても驚くほど変わらないですね。もちろんベテランとしての深みは現れていると思いますが、独自の詞世界の中での人々や情景を訥々と綴り、あるいは記憶の果てに想いを寄せるその歌声は、現在においても内省的な青さと瑞々しさを保っていると思います。楽曲的には7年ぶりといっても特に目新しい試みがあるわけではなく、いつものアコースティック基調なバンドサウンド。敢えて言えばバンジョーなどを使ってカントリー色が強めになっているでしょうか。ややアップテンポな躍動感にパーカッションとコーラス隊が彩りを添える 「Fools of Complaint」 、土臭くブルージーなギターが実に渋い 「I Never Wear White」 、エキゾチックで幻想的、かつ何処か示唆的な 「Don't Uncork What You Can't Contain」 「Jacob and the Angel」 など10曲。楽曲毎に異なった曲調/アレンジを取り入れており、それなりにヴァラエティ豊かな内容ではあるのですが、起伏が抑えられたヴォーカルの冷ややかなテンションは常に一貫されており、総じてキッチリと彼女ならではの秩序が保たれた世界観。ある種の良心ですね。

Rating: 7.0/10