BUCK-TICK 「或いはアナーキー」

1年9ヶ月ぶりとなる17作目。


ここ数作特に顕著だった4つ打ちビートのダンスグルーヴをさらに突き詰めつつ、今井ちゃんの脳内宇宙が噴火した 「DADA DISCO -GJTHBKHTD-」 で瞬殺 KO 。その後も流線型ニューウェーブ・パンク 「Devil'N Angel」 、あっちゃんまで噴火したお祭りラテン怪曲 「SURVIVAL DANCE」 とグルーヴを重視したキラー曲が多数。バンドの生音をシンプルに纏める一方、シンセサウンドをカオティックとも言える勢いで突っ込み、複雑な融合を果たして B-T ならではのブッ飛んだセンスを堪能できる仕上がりです。さらにはダークで妖艶なムードが刺激的な 「masQue」 、タイトルとは裏腹に暖かな慈悲が広がる 「世界は闇で満ちている」 、感動的とも言える瑞々しいポップネスが弾けた 「ONCE UPON A TIME」 とバラエティに富んだ構成。 「天使のリボルバー」 あたりから前作 「夢見る宇宙」 までで試みてきた彼らの音楽的実験、変遷がこの作品で全て結実した、と言っても良いかも知れません。 「形而上 流星」 もこのアルバムの流れで聴いて初めてその真意が見える。最新型の B-T スタイルをこの上ない密度、説得力をもって提示する傑作です。

Rating: 9.1/10