J Mascis 「Tied to a Star」

Tied to a Star

Tied to a Star

約3年半ぶりとなるソロ3作目。


今回も基本的にはアコースティックギター弾き語りがメインなのですが、前作 「Several Shades of Why」 ではジワリと滲むフォーキーな渋味が印象的だったのに対し、今作はもう少し幅を広げて躍動感やスケールの大きさを打ち出した面もあり、ソロとしてのキャリアを順当にステップアップしている感があります。 「Every Morning」 のダイナミックなストロークであったり、 「Training Off」 「Better Plane」 などでもヴォーカル以上に歌いまくりなエレキギターのソロが挿入されたりと、 Dinosaur Jr. 本隊にそのまま繋がりそうな楽曲がチラホラ。しかしながら最もフィーチャーされているのはあくまでもアコギの音色であり、それによって J 本人の憎めない人柄も素のままで表れているよう。またシンセ/ピアノを取り入れて音全体に広がりが生まれた 「Me Again」 、軽やかさと哀愁のマッチングが優しく涙腺を刺激する 「Wide Awake」 など、泣きのフレーズも実に冴え渡っている。相変わらずのヘロヘロな歌声も J 流のエモーションの発露。良いギターを弾いて良い歌のみを作る、それだけをまるで呼吸と同じように自然に続ける。彼の魅力はそれだけで成立するのだという証明。

Rating: 7.9/10