今年のミナホ何見たらええねん2014私的10選


今年も開催されます日本最大級のショウケース・イベント MINAMI WHEEL 。先日タイムテーブルも発表されましたね。今年は例年にも増して400組以上が出演するとのことですが、そのうち見られるのは急いでハシゴしたとしても3日間でせいぜい20〜30組程度。新しいバンドを見つけたいけどさすがに全ての音源をチェックしてるほどヒマじゃないという方へ、自分が今回密かに気にしてる出演者を紹介してみようという企画です。耳聡い皆様方はとっくに知ってるよというバンド多数かもしれませんが、フルアルバムを出してない若手などはこのブログだとちゃんと紹介しづらい所があったりなど、掬い切れてなかった部分を補完する意味でもこの機会に改めて書いてみたいなと思いまして。以下に時間帯順に10組。




Bryan Associates Club (10/11 15:00 @ Pangea)



2013年結成の新鋭。 「マイノリティの手法で、上質なアート・ロックの構築を試みる」 というコンセプトらしいですが、バンド側の謳い文句というのは良くも悪くもだいたい当てにならないものでして。楽曲は少し前の GOATBED を思わせるエッジィな 80's シンセポップに妖艶で野蛮なグラムロックを交配、しかも下の MV 見れば何となく分かって頂けるかと思いますがヴォーカルが清春病。まあミナホの中で言えばマイノリティなのは確実ですけども…とりあえず一度は生で見届けないことには。ヴェルヴェット思想家は雨が降れば平気な様子で煙草に火をつける。





荒川ケンタウロス (10/11 19:00 @ FANJ twice)



国分寺出身の5人組。キーボード奏者を含むアンサンブルは US インディのサイケな暖かみ、あるいはシンセポップの意匠を施したりといった洋楽的コンテクストがありつつ、中心のメロディは国産フォークの垢抜けない牧歌的なムードから、曲によっては槇原敬之的な真っ直ぐな J-POP っぽさも感じられたり。夕暮れの郷愁の中に多彩な音色を塗してカラフルに仕上げたサウンドで、広い窓口を持った歌メロと細部の作り込みにおける聴き応えがあり、 Galileo Galilei を彷彿とさせる期待の新星です。





ユナイテッドモンモンサン (10/11 20:00 @ DROP



大阪出身、いつの間にか5人編成になってましたね。元々 Weezer などからの影響を感じさせるセンチメンタルなパワーポップだったのですが、徐々にフロントマン松岡恭子のカラーが色濃くなり、どんどんキュートさを前面に打ち出すようになっていきました。とは言っても単純にセルアウトしたわけではなくて、関西人らしい押しの強い気質 (笑) もあってかパワフルな推進力が感じられる。いつブレイクの火が点いてもおかしくない存在だとは思うのですが、この度の大きなバンド内変革が吉と出るか凶と出るか、気になるところです。





ENTHRALLS (10/12 15:15 @ knave)



2013年に活動開始し、同年のフジロックサマソニ双方の公募枠に受かったという勢いづいてる感のある4人組。ピアノを主体としたギターレス編成で、タイトな疾走感を持って心地良く躍動する部分などは若干 school food punishment を彷彿とさせる部分も。しかしヴォーカルは柔らかな丸みを帯びた声質で、何処となく童話のようなファンタジックな世界観を広げつつ、エモーションを開放する。まだ粗削りな面はありますが、これから化けるんじゃないかなーという予感がひしひしと。





コロボックルズ (10/12 17:15 @ FANJ



大阪の3人組。古くはジッタリン・ジンから JUDY AND MARYチャットモンチーから SHISHAMO へと、連綿と受け継がれていくガールズロックの流れの尖端にこのバンドがいるのかなと。シンプルなスリーピースの演奏に、童謡のようなノスタルジックで馴染みやすいメロディ。言ってみればそれだけなんですけど、ロックは正直それだけで十分かもしれません。パンキッシュで無駄がなく、なおかつ垢抜けない所が自分の好みにハマってるのかも。ついでに言えばベースの人の髪型もコロボックル的。





印象派 (10/12 19:00 @ FANJ twice)



大阪発の OL デュオ。 OL と聞いて思い出すのは Charisma.com だったりしますが、こちらは相対性理論以降の流れを汲んだニューウェーブ/シンセポップ (時折ラップも披露してはいますが) 。ミステリアスで飄々とした雰囲気を醸し出しつつ、きっちり J-POP らしいベタなメロディを組み立てている辺りはむしろパスピエに近いかもしれません。ただ単なるフォロワーというわけではなく、曲の中でしっかり耳に残らせるフックを仕掛けてくる作曲センスはなかなかのもの。クールな中にも虎視眈々と広いシーンを狙うしたたかさが見え隠れしてて、そのバランスが良いです。





打首獄門同好会 (10/12 20:00 @ SUNHALL)



今年で結成10周年を迎えるスリーピース。音の方はなかなか気合いの入った HR/HM 。いなたいグルーヴ感でゴリ押すヘヴィ・ロックンロールで格好良いのですけど、歌詞の方は焼き鳥とか二郎とか水曜どうでしょうとか、言ってみればマキシマム ザ ホルモンとか sex MACHINEGUNS などの系譜。リズム隊の女性含めたメンバー全員がヴォーカルを執れるため、華やかなキャッチーさが生まれてるのも強み。いつの時代にも一定数生まれる、本気のバカを演ってくれる愛すべきバンドです。特に水どうに関しては重度のマニアらしく、その辺も含めて推せますね (笑) 。





DENIMS (10/13 15:15 @ soma)



元 AWAYOKUBA のメンバーを中心に結成された4人組。キーボード担当がなくなったため以前のラテン風味は薄れましたが、オールディーズ・ロックンロールから昨今の海外インディロック、またはファンクやヒップホップの要素も加味した、より雑食でタフなアンサンブルに進化しています。またサウンドが変わってもオーディエンスを巻き込んで楽しむパーティ的な朗らかさは全く損なわれていません。そのライブパフォーマンスの巧みさこそが彼らの一番の強み。





1000say (10/13 18:15 @ FANJ



2005年結成の4人組。このバンドもシンセポップの類ではあるんですが、他が海外インディ的知性派だったりバキバキのエッジィな縦ノリサウンドだったりするのに対し、このバンドはピコピコの可愛らしいガールズポップで、言わばみんなのうた的な馴染みやすさ、親しみやすさに重点が置かれている感じでしょうか。世間の流行り廃りからは切り離されたところにあるポップスとしての純粋な魅力は、なんとなく常にそばに置いておきたいようなもの。





井乃頭蓄音団 (10/13 19:00 @ FANJ twice)



バンド名通り井の頭公園で結成された4人組。70年代フォークロックを基調とした音楽性はタイムレスな魅力を持っており、鈴木茂坂崎幸之助からお墨付きをもらうほど饒舌な演奏。フロントマン松尾よういちろうの書く歌詞は情けなくしょっぱい生活だったり、居た堪れない男女のいさかいだったり、どうしようもない下ネタだったり。けれどそれがドギツくなることなく、笑い話として人生の肥やしにできるような軽みを持って、ノスタルジックで人懐っこい暖かみが滲み出ている。そこにはおそらく彼らの人柄が表れているんでしょうね。




以上ズラズラと紹介してみましたが、正直なところ俺もこれらのバンドを必ず見ると決めたわけではありません。他にも様々なスタイルのバンドが同じ時間帯に横並びしており、その場の気分で何処に立ち寄るかはいくらでも変わります。明らかにこの会場じゃ狭すぎるだろ…というのもありますしね。あくまで選択肢の一つとして参考にしていただければ幸い。