PLASTICZOOMS 「SECRET POSTCARD」

SECRET POSTCARD

SECRET POSTCARD

前作より1年ぶり、ミニアルバムとしては初の作品。


これまでもゴシック/ポジティブパンクを基盤に置きつつ着実にポップ化を続けていたわけですが、今作ではもはやポップの比重の方がすっかりメインを占めています。中心人物 Sho Asakawa の実質的なソロユニットと化したのが大きいのかもしれませんが、バンドサウンドのダイナミズムといった枠組みすら取っ払い、80年代ニューロマンティックへの憧憬が露わとなっています。ひどくカラフルで軽薄で刹那的で、それ故の脆さ、儚さも孕んだセンチメンタル一直線な内容。例えばパッド系シンセの使い方であったり、全体的なリバーブのかかり方やスネアの音色なんかも絶妙なまでに80年代。ただリバイバルとしては細部まで拘りを感じる一級品であるけども、単純にポップスとしてはフックが弱く地味に感じてしまう。コレに似た路線としては、かつての GOATBED がもっと現代的なエッジを効かせた形で散々やってきただけに、この良くも悪くもリバイバルの範疇で納まったスタイルというのは、ちょっとベクトルが外に向いてないなと思うのですね。ただ今作を踏まえてさらに世界観を拡張できれば、凄いのが産まれそうという予感は感じます。

Rating: 6.4/10