坂本真綾 20周年記念LIVE "FOLLOW ME" @ さいたまスーパーアリーナ

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そこに空と海があった。


演出面について。今回フィーチャーされていたのが来場者全員に配布された LED 付リストバンド。スタッフ/演者側の操作でこれが七色に光るというものですが、花道のせり出したステージと暗闇に包まれた客席。そこに青色の LED が照らし出される様子は、400レベルの遠い座席から見ていた自分にはまるで海と波止場、あるいは宇宙と衛星のように思えて、まるでマクロスよろしく歌いながら航海を続ける真綾を我々が星となって照らし出しているようじゃないか。やや大袈裟ですが生きることは航海によく例えられるし、音楽活動ももちろんその一部。 「FOLLOW ME」 と題されたライブで歌い手とファンの関係性が演出を通して美しく表現されたのは、さすが20周年という年月の重みもあって深くグッときてしまう。これが 「ヘミソフィア」 では赤と青の激しいストロボと化してポケモンショック起こしそうになったけど。


セットリストについて。アニヴァーサリー的意味合いのライブなのでやはり新旧取り取り、シングル曲主体の内容ではありましたが、序盤でいきなり 「スクラップ~別れの詩」 が飛び出した時は震え上がったし (ツインペダルでよりラウドに肉体強化) 、往年の名曲 「tune the rainbow」 や 「マメシバ」 なども思い入れが深いだけに嬉しいところ。その中でも真綾の魅力が最も良く表れていたのは中盤のアコースティックパートでした。 「パイロット」 は本人による当時の瑞々しい作詞表現が以前から高い評価を得ていましたが、長い月日、経験を経ての歌唱力により、何処かノスタルジックな深遠さ、柔らかな憂いが自然と強調されて響いてきました。この曲がリリースされた当時はまだ10代でしたが、今歌っても気恥ずかしくならないどころか説得力を増しているのは、彼女の歩みがひとつひとつ着実な、今に至るまで一本の地続きな芯が通ったものだからでしょう。それは 「奇跡の海」 でも同様。この曲はむしろ今の真綾が歌ってこそ、真価が発揮されていると思います。


ゲスト参加の菅野よう子先生はピアノ一本のメドレーを披露。 「夜明けのオクターブ」 「紅茶」 「バイク」 など矢継ぎ早に曲を畳み掛け、観客を翻弄しつつ巻き込んだり。真綾ファンの心のくすぐり方を熟知してる感じで流石といったところ。あと the band apart は色んな意味で凄い扱いで笑ってしまった。なんやあの特設セット。口で伝えても面白くないので出来ればいずれ映像ソフト化された際にご確認をば。他では 「You can't catch me」 ツアー時に震災のためお蔵入りとなったバスセットがサプライズ復活で真綾また泣いちゃったりと、約3時間半の長丁場、笑いも涙もてんこ盛りのステージ。もうしばらくは満腹状態ですが、どうせ欲張りな我々はすぐに腹が減るはず。航海はこれからもゆっくりと、長く続いていくことでしょう。


<セットリスト>
1. 幸せについて私が知っている5つの方法
2. マジックナンバー
3. スクラップ~別れの詩
4. ループ
5. SAVED.
6. 色彩
7. tune the rainbow
8. パイロット
9. 指輪
10. 奇跡の海
11. coming up
菅野よう子ピアノメドレー)
12. 約束はいらない
13. プラチナ
14. 光あれ
15. トライアングラー
16. ヘミソフィア
17. レプリカ
18. マメシバ
19. 風待ちジェット
20. おかえりなさい
21. シンガーソングライター
(アンコール)
22. 約束はいらない (the band apart
23. Be mine!
24. そのままでいいんだ
25. eternal return
26. これから
27. ポケットを空にして