Wire 「Wire」

Wire

Wire

ロンドン出身の4人組による、約2年ぶり14作目。


ワイヤーは常に新しい。1999年の再々結成以降は精力的なペースでリリースを重ねており、音楽性はその度にマイナーチェンジを続けています。シンセの装飾を交えながらも贅肉は一切削ぎ落とし、空間の隙間を上手く保ったアンサンブル。ビターで硬質、なおかつミニマルな曲構成の恍惚感も滲ませ、殺伐とした空気感の中に知性を感じさせる彼ら独自のアート・パンク。ただ殺伐と書きましたが今作はいつになくメロウな側面が強調されており、中心人物の Colin Newman は遠くの景色を眺めるような穏やかさで、優しく伸びやかなメロディを歌う。革新性や実験性よりもむしろ、ロックンロールのタイトな躍動、歌声の渋味といった普遍的な魅力が心地良く浸透する。 「ロックじゃなければなんでもいい」 のステートメントから始まった彼らが、このシンプルな純度を誇るロックサウンドへと辿り着いた、その姿からはそこはかとない威厳や、ある種の洗練された美しさを感じます。例えば dip 、あるいは Lillies and Remains などにも共通する、古き良き時代からのインプットをタフにシェイプアップしてみせる、そのセンスの鋭さには痺れるばかり。

Rating: 7.5/10



WIRE 'Burning Bridges'