Tyondai Braxton 「HIVE1」

元 Battles のギタリストによる、5年8ヶ月ぶりソロ3作目。


そもそもは 「HIVE」 なるインスタレーション作品のために作られた音楽ということで、その視覚的効果と合わせて聴かないと今作の実態は掴めないのかもしれません。 Battles で確立したマスロック的手法とフルオケ演奏のクラシックを融合させ、絢爛なダイナミズムを発揮していた前作 「Central Market」 とはガラッと趣が異なり、今回は完全なるエレクトロニック・アルバムです。時には異様に性急なな4つ打ちに突入したり、時には聴き手を嘲笑うかのような不可解なノイズが挿入されたりと、極限までシェイプアップされたビートの飛礫が不規則に配置された、 Battles を含めた彼のキャリアの中でも最もアブストラクトで実験的な内容。ほとんど色味のない無機質な作風に最初は面食らいますが、クールな緊張感は一貫されているし、まるで脳ミソの普段使わない部分を無理矢理こじ開けられているような、好奇心を擽られる作品であるのは確か。オープナー 「Gracka」 など、よく聴けば彼ならではの柔軟なポップ性も滲み出ているように思いますし。長いブランクの間に彼がすっかり遠い地平に向かっていることをまざまざと見せつけられました。

Rating: 6.5/10



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