Thee Oh Sees 「Mutilator Defeated at Last」

Mutilator Defeated at Last

Mutilator Defeated at Last

サンフランシスコ出身の4人組による、1年ぶり9作目。


2013年に無期限活動停止を宣言しておきながら、その舌の根も乾かぬうちにリリースやライブを再開しており、海外のバンドにしてはかなり多作な彼ら。ただメンバー編成は流動的で、今作でもリズム隊が刷新されたり過去のメンバーが出戻ったりとスライムのように絶えず変化を続けており、その度に楽曲の質感も微妙に変わっています。そして今回はと言うと、ファズの響きが痛快なガレージパンクがあり、脳ミソを蕩かすサイケデリアがあり、インテリジェントかつ毒っ気の強い音響的仕掛けもたくさん。柔よく剛を制するリズム隊の強化により、バンドとしての一体感と自由度の高さを同時に押し広げている印象があります。傑作 「Floating Coffin」 の頃のアグレッシブな肉体性がありつつ、よりしなやかに聴き手を翻弄してくる感じ。特にオープナー 「Web」 は彼らの新たな代表曲と成り得る高い構築性を持った秀曲です。あくまでも古き良きロックンロールの枠に拘りつつ、その範疇に留まったままであっても、ロックはいくらでもストレンジな刺激を放つことが出来るということ。それは2015年の今現在においても、むしろ今だからこそ、か?

Rating: 8.0/10


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