FUJI ROCK FESTIVAL '15 3日目

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ろくすっぽ寝てないままフジロック最終日です。昨日以上にピーカン照り。しかも日焼け止め忘れて病的に焼けてしまった。結果的に雨降ってたのは初日の午前中だけでしたね。


TXARANGO @ WHITE STAGE
本日も一発目はホワイトからです。こちらはスペイン出身の8人組。ラテンフレイヴァーの入ったスカ/レゲエであります。昨日の Räfven と同じく現場叩き上げ系で、どうやれば観客をノせられるかを身体で熟知してる。一気に突き上げるスカパンクから陽気と哀愁の入り混じる横ノリパートへ、実に自然な流れでオーディエンスをアジテート。この類のパーティバンドは本来なら廃止となった ORANGE COURT に出演していたと思うのですが、それをホワイト一発目に持ってくるというのはとても良い采配だと思います。フジロックのキュレーション力の高さが窺えるというもの。もう楽しくないわけがないという感じで初っ端から溜まった疲れを吹っ飛ばす勢いではしゃがせてくれたのでした (そして終わった後に痛い目を見る) 。


cero @ WHITE STAGE
新人の中では特に人気が急増しているバンドのひとつ。しかし自分は曲を試聴した限りでは結構な苦手意識を持っていました。シティポップやブラックミュージックを咀嚼し、アコースティック楽器からエレクトロニクスまで駆使した密度の濃い楽曲、そして良質なメロディセンス。その音楽性の高さは分かるのですが、どうも自分が渋谷系やシティポップなどに対して感じる、ともすればスノッビーな悪い意味での意識の高さ、インテリ臭さを感じ取ってしまって。しかし彼らのライブはそういった雰囲気よりも、押すところではガッと押すパワフルさ、躍らせることを重視したグルーヴの強さが前に出てきており、スタジオテイクとはだいぶ印象が違いましたね。フロントマン高城晶平の人柄の良さも関係してるかも。洒脱な中にも熱量を感じさせるパフォーマンスでなかなか驚かされました。


この辺で睡眠が足りず立ったまま寝てしまいそうになり、たまらず木陰で休憩。2時間ほど寝てる間に Todd Rundgren が笑撃のパフォーマンスを繰り広げ、 Johnny Marr は The Smiths の曲を演ってたらしいですね。 「There Is a Light That Never Goes Out」 はかすかに聴こえたんですけどね。なんもかんも昨日のバスの列が異様に長かったのが悪い。そう、事前にはメンツが最悪とか色々言われてたけど、実際のところ例年並みには人多かったですよ。


椎名林檎 @ GREEN STAGE
俺の記憶が確かなら見るの2006年 CDJ東京事変以来?うわー。ということで9年ぶりの林檎さん、ますます美魔女っぷりに磨きがかかってました。何処のフランスの貴婦人かというような純白ワンピース+赤リボンの出で立ちでしゃなりしゃなりと登場。もうその一歩一歩が徹底的に洗練されてるのですよね。無駄な動きは一切なく、毅然とした立ち振る舞いから自然と発せられるオーラだけですでに会場の空気を掌握してる。相変わらずステージを見られているということに対して激しく自覚的な人だ。これぞプロフェッショナル。そんで俺が2秒ほど目を離した隙にレオタード姿に変身してた時はリアルにむせた。何してんねんこの人?グリーンステージのスクリーンにでかでかと映し出される乳の深い谷。あの中に住みたい。林檎さん今年で御年37だそうで、やっぱり時代はオーバーサーティーですよ。丁度良く熟した真夏の果実なんですよ。四六時中も好きと言ってほしいんですよ。よろしくお願いしますよ。


HUDSON MOHAWKE @ WHITE STAGE
スコットランド出身の DJ 、この日はサポートを率いたトリオ編成で登場。スタイリッシュなストロボ照明演出と大量のスモークでただならぬ雰囲気を醸す中、放たれるフリーキーなベースミュージックの飛礫。基本的にビートはサンプラーをドラムセット型に組んだ半人力スタイルで、ダブステップ、ヒップホップ、トランスなどを掛け合わせた独自のエレクトロサウンド。比較的短い尺の楽曲を次々と畳み掛け、変則的なビートに身体が慣れたと思ったら場面は次へスライド。しかも後半になるにしたがってどんどんメロドラマ的な壮大さが増してくるものだから、一体何処へ向かうのか分からないスリル、好奇心を煽られている感じがして、まるで目が離せなかった。享楽性と実験性が激しく拮抗し、オーディエンスを翻弄するダンスミュージック・インスタレーション。見応えバリバリでした。


FKA twigs @ WHITE STAGE
前のハドモで楽しく踊れたので、ここはクロージングとしてチルな感じで…などと思ってたら甘かった。衝撃度で言えば今回のフジで最も大きかったかもしれません。妖艶なエキゾチシズムと何処か浮世離れしたミステリアスな雰囲気を兼ね備え、スキニーな肢体を大きく折り曲げながら、ステージの端から端までを使って感情の趣くままに歌い踊る。その様子は完全にシャーマン。異様に澄んだ歌声もあどけない少女らしさを残しながらひどく蠱惑的にも聴こえるし、一切の感情を排した無機質なサンプルにも聴こえる。中盤でゲストダンサーを迎えて凄まじい高速ヴォーギングを展開した時には、もはや自分と同じ世界に住んでる人間とは俄かには信じ難かった。完全にネクストレベルの存在。楽曲もポストダブステップを通過した新型ポップサウンドで、先のハドモもそうでしたがホワイトステージの音響の良さが際立つ。皮膚に直接突き刺さるような低音、体温を感じさせない絶対零度の音世界。やはりサンプラーを用いてスティックを振り回す演奏陣も、シャーマニックな雰囲気を助長していたかもしれません。徹底した緊張感に深い爪痕を残されてフジロックの全行程が終了しました。


ということで、最終日のベストは FKA twigs でした。何だかんだで今年も3日間フルに遊び倒しましたね。次回は20回目になるということでどんな内容になることやらと、すでに来年に思いを馳せているのでしたとさ。