サカナクション 「懐かしい月は新しい月 ~Coupling & Remix works~」

初となるカップリング集とリミックス集の2枚組編集盤。


まずカップリング集 「月の波形」 。 「ホーリーダンス」 や 「スローモーション」 といった彼ら得意の高揚感あるキラーチューンもありますが、主にはニューウェーブ/シンセポップ特有の捻くれセンスを打ち出し、バンド演奏とエレクトロの融合をより自由度の高い形で成した実験曲揃い。中には 「もどかしい日々」 のように試行錯誤がまるっきり纏まらないままで提出されたものもあったりしますが、アルバム全体は一貫して 「月」 のイメージに沿う冷たく澄んだ質感が共通してるのが面白い。しかしリミックス集 「月の変容」 はテクノ/エレクトロニカとしては予想の範疇で納まっているものが多く、いまひとつ面白味に欠けると感じる場面の方が多い。その中でも石野卓球レイ・ハラカミはさすがの個性を発揮していましたけどね。そもそもリミキサーのベタな人選や実際の曲の仕上がりもそうですが、大衆を置いてけぼりにしないようにと配慮してか、曲調が先鋭的になりすぎることに躊躇してるような気がする。何だかメンバーのダンスミュージックに対するセンスの甘さを感じてしまいました。カップリングでは割と好き放題やってたのに。

Rating: 5.9/10



サカナクション - ホーリーダンス(MUSIC VIDEO) - YouTube