Ropes 「dialogue」

dialogue

dialogue

戸高賢史ART-SCHOOL) とアチコによるユニットの初フルレンス。


たまにリズムやピアノが入ったりしますが、基本はメンバー2人の音のみによる構成。戸高氏のギターサウンドは空気に溶けるような透明感と程良い歪みを併せ持ち、シンプルでありながらも音の隙間にある静寂まで支配するような濃密さ。丸みを帯びた声質のアチコはその音の中で、伸び伸びと羽を広げるような自由さを持った歌を響かせています。例えば ART-SCHOOL であったり、すでに解散した KAREN でも一要素としてあった幻想性の側面により深くフォーカスし、ある意味で表現が一層純化された形。遠い過去の記憶や風景に思いを馳せ、すべてが煌めいて見える儚さと美しさ、ひどく穏やかでノスタルジックな情感を湛えています。それと同時に序盤の表題曲 「dialogue」 や 「Drive」 では何かが起こりそうな予兆にも似た、密やかな高鳴りを見せるポジティブなムードも感じられ、サイケデリックな音が醸す微睡みの中で風景はゆらりとスライドしていく。バンド名からは何となく冷たさや残酷さのようなイメージを受け取っていたのですが、過去から未来へと繋がる一本の縄をあざなう、ある種の希望が彼らの音には潜んでいる、かも。

Rating: 7.5/10



Ropes / dialogue