川田まみ 「PARABLEPSIA」

北海道出身のシンガーによる、3年ぶり5作目。


EDM ではありません。 EBM です。久々の新作ということでいつも以上に気合いが入っているようで、ほぼ全編がアッパーなエレクトロ・インダストリアルで占められた硬派な内容になっています。ガッツリ音圧を効かせたヘヴィなダンスビートに、もちろんギターのディストーションもザクザク斬り込む。しかしその中で川田嬢のヴォーカルはサウンドに埋もれるどころか、むしろ水を得た魚のようにパワフルな歌唱を聴かせてくれる。浜崎あゆみに近い声質でヒロイックな存在感を発揮し、まるっきり無機質には陥らずにアニソンポップの良質さも保っています。表題曲 「parablepsia」 のどっしり構えたグルーヴに掴まれ、 「fly blind」 の獰猛とも言えるメタリックな攻撃性から開放感溢れるサビへのダイナミックな移行などは結構驚かされた。その一方で 「Enchantress」 なんかは90年代 J-POP の印象が強かったりと、ハード×ポップの配分を微妙に変えながら勢いを持続。過去にもこういったインダストリアル/デジロック路線は提示されていましたが、デジ一本に絞っても案外聴き疲れしないのは構成の妙技によるところが大きいのか。聴き応えバリバリです。

Rating: 8.0/10



「PARABLEPSIA」全曲試聴用動画