THE NOVEMBERS 「Elegance」

Elegance

Elegance

ミニアルバムとしては約2年半ぶり5作目。


「美しさ」 からの 「優雅さ」 。ますます自らの美的感覚を研ぎ澄ませて、もはや誰にも付け入る隙を与えない不可侵領域を作り出している彼ら。他人を参考にせず己のセンスを貫き続ければ自分自身がブランドになれる、と美輪明宏も言っていたような気がしますが、つまりは自分を信じるということ。どれだけシーンの流行から乖離しようが構わずに、彼らの目指す方向性がさらに突き詰められ、濃度の最高値を更新したような印象を受けます。土屋昌巳プロデュースによる本作は、制作過程においては複雑なプロセスがあったのかもしれませんが、出来上がった音は幻惑的なクリーントーンを主体とした、今までよりもシンプルに研ぎ澄まされたもの。そして小林祐介の歌声は過去最高に夢見心地な危うさを孕み、ひどく自己陶酔的。オープナー 「クララ」 など特に、最近のヴィジュアル系でもここまでナルシシズムを溢れさせたヴォーカルはそうそうないんじゃないか。ここまで来ると駄目な人はまるで駄目、下手すると今までのファンでも篩にかけられるかもしれない。身体の芯から蕩かす麻薬的サイケデリアが5曲。最後の 「出る傷を探す血」 だけは別の意味で危険。

Rating: 7.2/10



THE NOVEMBERS「きれいな海へ」(Mother side) - YouTube