lynch. 「D.A.R.K. -In the name of evil-」

1年半ぶりとなる7作目。


やりたくないことはやらない。これがヴォーカル葉月がバンドマンとしての矜持だと発言していたようで、確かに lynch. は今までやりたいことだけを頑なに追求してきたバンドでした。鍛え上げられたヘヴィネスとドラマチックで耽美なメロディ。その二本柱のみを武器に、余計な寄り道をすることなく作品を重ね続けてきた彼らの姿勢は、変化こそ正義だとされることの多いヴィジュアル系シーンの中では逆に異端と言えるだろうし、ある意味良心的な潔さがある。それが単調なマンネリズムに陥ることなく常に刺激を伴っているのは、アレンジの密度、メロディのベタさにおいても実は少しずつ上限を拡張してきてるからか。表題曲 「D.A.R.K.」 でピアノを取り入れてサウンドの奥行きを拡張したり、 「ANTARES」 「GHOST」 の大胆なテンポチェンジなんかもマイナーながら良いアクセント。 「ETERNITY」 「FALLEN」 は90年代メロドラマ的な切なさが最近ではむしろ珍しいくらいの直球さかと思いますが、これこそ彼らのやりたいことそのままの持ち味。彼らなりの邪悪、罪悪がコレだという強い意思表示。たまに耳を疑う歌詞が突いて出るけども。

Rating: 7.9/10



BEAST / lynch.