上坂すみれ「20世紀の逆襲」
91年生まれの声優シンガーによる、2年ぶり2作目。
今年に入っても再結成ニュースが世間を賑わせるなどで20世紀の逆襲が続いているわけですが、彼女の定義する「20世紀」とは何なのか。以前リリースしていた本人選曲の80年代アイドル歌謡コンピ、あのバブル期における刹那的で煌びやかなムード、清らかさと一抹の翳りが彼女の中でキモなのかなあとぼんやり思ったり。しかし実際にアルバムの内容を見てみると、既発のシングル曲をカップリング含めて全て網羅した半ベスト的な内容。その音楽性も様々な作家を起用してキッチュなエレクトロからハードロックまで何ともヴァラエティに富んでおり、80~90年代の古き良きアイドル感には全く留まっていません。そのため全体の流れはどうもチグハグな感覚が否めない。洗練された音像のため20世紀リバイバル感は薄いし、そのコンセプトを一旦置いたとしてもトータルで見た時にひとつの筋が見えづらい印象でした。上坂さん本人はなかなか濃いキャラクターの持ち主だと思いますが、散漫な楽曲群がその個性をかえって薄めてしまってるような気がする。個々を見れば「パララックス・ビュー」「冥界通信 ~慕情編~」といったアクの強い秀曲もあるのですけどね。
Rating: 5.9/10