ゲスの極み乙女。「両成敗」

1年3ヶ月ぶりとなるフルレンス2作目。


恋をすると人は弱くなる。いや、弱いから恋なんて面倒なことをするのかもしれない。その面倒事の中でも特に、好きになった人が結婚していた/恋人がいたと知った時の面倒臭さは尋常ではない。ぼくにも経験があるからよく分かります。パートナーの存在はこの世の不条理に対する行き場のない怒り、屈服感や劣情になみなみとガソリンを注ぐ。そんな状態で物分かり良く相手を諦められる人間なんてどれほどいるだろうか。ただそこで激しさに駆られて行動を起こしたとしても、ガソリンに塗れて火達磨の状態では自分も相手も火傷を負うというもの。心に負い目を隠す人間は結局どこかで破綻をきたしてしまう。その結果俺は駅前のマクドで懇々と説教を食らい、心身ボロカスで電車の中で寝こけて終着まで乗り過ごしてしまうし、彼女(彼女?)は週刊誌へのリークによって著しく好感度を下げる結果となった。誰かを傷つけようとすれば自分が傷ついてしまう。そんなこの世の真実を「両成敗でいいじゃない」と軽妙に歌い上げる川谷絵音の説得力は凄いものがある。山口一郎言うところの「戦略すら表現」とは正にこういう事だ。曲はマンネリで単調。

Rating: 4.0/10



ゲスの極み乙女。 - 両成敗でいいじゃない