DEZERT「最高の食卓」

『最高の食卓』[通常盤]

『最高の食卓』[通常盤]

11年結成の4人組による、1年2ヶ月ぶりフルレンス2作目。


この1年の間にギタリストが交代していますが、劇的なイメージチェンジではなく前作の路線をさらに濃く鋭くビルドアップすることに成功しています。ダーク、オサレ、ヘヴィといったゼロ年代ヴィジュアル系の諸要素をバランス良く配分しつつ、決して他所からの借り物感、または手際の良すぎる優等生感ではなく、良い意味で悪童っぽさの表れたしたたかな攻撃性はインパクトが強い。「あー。」「ここにラブソングを」などのヘヴィチューンは禍々しさと切れ味が一層冴え渡り、「問題作」では不安定ゆえの歪な美しさが際立ち、「セイオン」のような真っ当にポップな楽曲も全体の流れの中にピタリと合致してる。メロディがキャッチーな一方でなかなか実験的な曲構成を取っていたりもするのですが、無駄な引き伸ばしは一切省いて10曲35分にビシッと纏めた結果、実にトータリティの高い、綺麗な一本の軸がアルバムの中心に生まれています。そしてエッジの効いたエログロ描写とジュブナイルの救済が渦を巻く歌詞世界は、聴き進めるうちにとっくに塞いだと思っていた心のダメな扉が開きそうになってしまう。若いリスナーには尚のこと危険だ。

Rating: 8.4/10



「あー。」DEZERT