LIPHLICH「蛇であれ 尾を喰らえ」

- アーティスト: LIPHLICH
- 出版社/メーカー: mader suitecase
- 発売日: 2016/02/10
- メディア: CD
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前作に引き続きメタルに色目を使った部分はあるものの、それと同等もしくはそれ以上に、ジャズ/トラッド/ムード歌謡などのエッセンスを取り込んで異国情緒をあちこちから匂わせる、独自の美意識が表れたリフリッチならではの楽曲が今回も揃っています。ゴテゴテと煌びやかでありつつ良い意味で斜に構えたヒネリがあり、妖艶さを振り撒きながらその実なんとも胡散臭い、その立ち振る舞いからはシーンの中であくまで異端、道化師であろうとする彼らの気概が強く感じられますね。またゴリゴリした攻撃曲からキャバレー風のスウィング曲、情感迸るバラードと曲調の振れ幅が広いのは以前と同様なのですが、今回はその振れ幅を保ちつつ全体の流れも上手く纏めており、アルバム全体としての完成度をキッチリ高めてきてます。「露店商通りの道理」「不条理、痛快、蛇の歌意」のシニカルなセンスはいかにもこのバンドらしい味だし、「一輪」「シャルルの憂鬱」などで見せる真っ当にエモーショナルな歌心にも実にグッとくる。余計なネタっぽさや飛び道具感を削いで、彼らの個性がより強靭に鍛え上がってきた。ここからさらに何処まで行けるか。
Rating: 7.9/10